スコダ・ラピッド・スペースバック・グリーンライン1.6 TDI

公開 : 2014.05.27 22:30　　更新 : 2017.05.29 18:40

スコダ

■どんなクルマ?

スコダが世に送り出したラピッド・スペースバック・シリーズの中で、最もクリーンで高効率なモデルがこのラピッド・スペースバック・グリーンライン1.6 TDIだ。

幾度となくテストが繰り返された1.6ℓのディーゼル・エンジンをその動力源とし、5速マニュアル・トランスミッションを介して最高出力は90ps、最大トルクは23.5kg-mを発生する。

加えて低燃費タイヤやストップ・スタート(アイドリング・ストップ)システムを盛り込むことにより、セアトによると燃費は26.3km/ℓ、CO2排出量は非課税対象の99g/kmにまで抑えこまれている。これらの数値を見るだけでも、いかにこのクルマが経済的に優れているかが分かるはずだ。

更には、フロント・グリルやエア・インテークの設計によるエアロダイナミクスの改善も施され、高効率化に一段と磨きがかかった。

■どんな感じ?

0-100km/h加速を11.9秒でこなし、最高速度は184km/hというのがスコダの公表値である。この手の車としては決して悪い数値ではないはずだ。

パフォーマンスそのものに不足を感じることがないのは、5速マニュアル・ギアボックスの適切なギアレシオによるものだと考えられ、非常に簡単にエンジン・パワーを引き出すことができる。

ディーゼル・エンジンはやや古風な印象を与え、今現在の最新のエンジンに比べると特に高速時、あるいはたくさんの荷物を積み込んだ際にザラザラとした粗い手応えが残る。ただしこれは我慢ならないほどのものではないのでご心配なく。一定の速度で走行する際も、エンジンからはコトコトと僅かながらに音が伝わる。こちらは他の車に比べてもボリュームが少し大きめだ。

また、アクセルを踏み込めばパワートレインにズレが生じるような感覚があり、こればかりは運転していて我慢できないほどではないが不快に感じるのはまちがいない。

反面、エンジンはすこぶる快調で、一般道の割合は少なめであったが様々な種類の道路と高速走行をした間の燃費は23km/ℓを指していた。

乗り心地もこざっぱりとしたもので、コーナリング時のロールは最低限に抑えられ、サポート性の高いシートのお陰でコントロールも非常に容易であった。ステアリングの重さとレスポンスも共に的確で、コーナーでは差し掛かる度にリニアな操作感に終始した。

キャビンに目を向けると、大人4人が快適に座れる小綺麗にデザインされたシートや、実用的なタッチを備えたスイッチ、大きめのグローブ・ボックスにチケット・ホルダーなど嬉しく思えるポイントをもれなく押さえていることが見て取れる。なお、大人5人が乗り込んだ場合、リア・シートの真ん中に座ることは比較的大変ではないが、あまり長距離には向かないだろう。全体的には見た目にも優れる仕上がりとなってるうえ、リラックスでき、便利で飽きが来ないだろうと感じた。

パッセンジャー側の化粧鏡や、予想以上にセンター・トンネルに近接したシートなど首を傾げざるを得ない点があるのも事実だ。さらに、低速ではロード・ノイズが、高速では風切り音が侵入してくる点もあまり歓迎できない。

標準装備は豊富という程までもないが、エアコン、トリップ・コンピューター、フロント・フォグ・ライト、電動ウインドウ、ヒーター付き電動ミラー等、必要にして充分な装備が用意されている。

後方の荷室容量はリアシートを犠牲にしない場合でフォルクスワーゲン・ゴルフが380ℓ、セアトが415ℓ、リアシートを倒した場合でゴルフは1270ℓ、セアトが1380ℓとなかなか満足のできる仕様だ。

トランクのアクセスも容易であるが、ひとつ受け入れがたいのは、スペア・ホイールの代わりに全くもって役に立たないパンク修理キットが備え付けられている点だ。精神的にもスペア・ホイールがトランクにある方が好ましいと考えるのは我々だけであろうか。

■「買い」か?

比較的安価で実用的、更には簡単に使える車をお探しならば考慮する価値はある。

組み合わされるディーゼル・エンジンは最高レベルの洗練と言うには程遠いのは認めるが、だからといって全てを台無しにするほどの出来の悪さではない。最終的には決して高くない価格や、必要充分な装備品の方が我々の目には魅力的に映るはずだ。なにより、似通った形をもつアウディ・A3 スポーツバックやフォルクスワーゲン・ゴルフよりも安いということも見逃せないポイントだ。

同様のパフォーマンスを発揮する1.6ℓブルーモーション・エンジンの車を買うならば、￡19,450(288万円)することを考えれば、こちらのスコダは￡2255(33万円)の節約になる。魅力的に感じてきたのではないだろうか。

(ルイス・キングストン)