数年前にEVへ抱いたイメージの対局 スコダ・エルロック:ベストEV賞 #AUTOCARアワード2026

公開 : 2026.07.03 17:05

2025年後半から2026年前半で、UK編集部が各カテゴリーのベストを称えるAUTOCARアワード。ベストEV賞に輝いたのは、スコダ・エルロックです。果たして、その納得の理由とは?

数年前にEVへ抱いたイメージの対局

数年前までのバッテリーEVといえば、巨大な駆動用バッテリーを載せ、前後に強力なモーターを積み、複雑で割高なクルマに思えたものだ。だが、2026年の英国市場で最も訴求力の高い1台といえるスコダ・エルロックは、そんなイメージと対局にある。

シンプルで、価格はお手頃。ベースモデルなら、3万2000ポンド(約672万円)ほどで購入できる。1度の充電で走れる距離も充分で、サイズは普段使いに丁度良い。

スコダ・エルロック(英国仕様)
スコダ・エルロック(英国仕様)

ただし、写真にあるレッドのエルロックは、ロングレンジの85仕様。リアアクスルを駆動するモーターも、286psと逞しい。その結果、価格は4万ポンド(約840万円)近くまで上昇している。

過ごしやすい季節なら510km程を無充電で走れる

EV専用のプラットフォームは、フォルクスワーゲン・グループの定評あるMEB。容量の大きいバッテリーを積めば、航続距離は最長560kmが主張される。過ごしやすい季節なら、現実的に510km程は無充電で走り続けられるだろう。

動力性能も褒められる。0-100km/h加速を6.3秒でこなし、全長4.5m前後のクロスオーバーの中では活発な側に含まれる。赤信号からの発進や、高速道路での合流も、余裕で周囲の流れに合わせられる。むしろ、望めばリードできるほど。

スコダ・エルロック(英国仕様)
スコダ・エルロック(英国仕様)

鋭いアクセルレスポンスは、運転のしやすさを高めてもくれる。日常的に、頼もしいと感じられる。

穏やかな乗り心地と穏やかなクルージング性能

加えて、穏やかな乗り心地と穏やかなクルージング性能が、エルロックの最大の強みだろう。サスペンションはしなやかに路面の不整を均し、減衰特性も理想的で揺れは最小限。傷んだ舗装やツギハギの多い区間でも、不快に感じることは殆どない。

カーブへ飛び込めば、ボディロールは最小限。姿勢制御は終始安定しており、ステアリングの反応にも非の打ち所はない。エネルギー効率も優秀で、小気味良いアクセルレスポンスと相まって、道を選ばず乗りやすい。

スコダ・エルロック(英国仕様)
スコダ・エルロック(英国仕様)

他ブランドがEVのラインナップ拡大を急いだ中で、スコダは冷静に実力のある選択肢を増やしてきた。そんな賢明なアプローチを正当化する、優れた電動ファミリー・クロスオーバーに仕上がっている。慌てずに競って掴んだ、勝利といえる。

記事に関わった人々

  • 執筆

    スティーブ・クロプリー

    Steve Cropley

    役職:編集長
    50年にわたりクルマのテストと執筆に携わり、その半分以上の期間を、1895年創刊の世界最古の自動車専門誌AUTOCARの編集長として過ごしてきた。豪州でジャーナリストとしてのキャリアをスタートさせ、英国に移住してからもさまざまな媒体で活動。自身で創刊した自動車雑誌が出版社の目にとまり、AUTOCARと合流することに。コベントリー大学の客員教授や英国自動車博物館の理事も務める。クルマと自動車業界を愛してやまない。
  • 執筆

    マット・ソーンダース

    Matt Saunders

    役職:ロードテスト編集者
    AUTOCARの主任レビュアー。クルマを厳密かつ客観的に計測し、評価し、その詳細データを収集するテストチームの責任者でもある。クルマを完全に理解してこそ、批判する権利を得られると考えている。これまで運転した中で最高のクルマは、アリエル・アトム4。聞かれるたびに答えは変わるが、今のところは一番楽しかった。
  • 翻訳

    中嶋けんじ

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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