8.5mのボディに並んだドア8枚 AQC ジェットウェイ707(2) 長すぎて駐車場から出られる気がしない 博物館の目玉コレクション
公開 : 2026.08.09 17:50
6本のタイヤで全長8.5mのボディを支えるストレッチ・リムジン、AQC ジェットウェイ707。博物館の目玉コレクションになった、オールズモビルがベースの異質モデルを、UK編集部がご紹介します。
もくじ
ーフロントピラーより後方は完全な独自設計
ー巨大なボディが招いたパワートレインの不調
ーヘリコプターが着陸できそうなルーフ
ー駐車場から外に出られる気がしない長さ
ー番外編:奇抜なトロネードの生まれ変わり
フロントピラーより後方は完全な独自設計
ジェットウェイ707の価格は不明だが、フロントピラーより後方は完全な独自設計。1962年から提供されていた、似たコンセプトのチェッカー・エアロバスなどと比べても、高額だったことは間違いないだろう。8枚あるドアも、専用デザインだった。
燃費は、ベースのオールズモビル・トロネードで、当時のAUTOCARの計測では4.2km/L。これより悪かったことは想像に難くない。最高速度は、144km/hが主張された。

アメリカン・クオリティ・コーチ(AQC)社は、専用機材を用いて生産された、上質なストレッチモデルであることを強調。塗装色や内装は、運用する側のイメージカラーなどに合わせて、選択可能だった。
巨大なボディが招いたパワートレインの不調
ジェットウェイ707のデザインスケッチには、1966年式オールズモビル風のフロントマスクが描かれていた。しかし最終的には、ブルノーズと呼ばれた1968年式トロネードの在庫車が流用され、だいぶ個性的な顔つきになっている。
フロントグリルは左右に別れ、その内側に展開式のヘッドライト。サイドウインドウの数は仕様によって異なり、12名ボディの他に15名ボディも選べたという。長く伸びたルーフは、スチールで作られた例もあるが、FRP製も存在している。

ベースとなったトロネードのパワートレインは、基本的には堅牢だった。だが、8.5mの巨大なボディを引っ張るとなると、不調を招きがちだった。7.5LのV8エンジンは、最高出力が400馬力程度へ強化されていたが。
顧客には、高級ホテルやリムジンの運行会社に加えて、役員の送迎を想定した企業も含まれた。オールズモビルを擁した、ゼネラル・モーターズ自らも。しかし、ジェットウェイ707の販売は振るわず、AQC社は1970年に廃業へ追い込まれている。
ヘリコプターが着陸できそうなルーフ
今回の車両は、1968年にヒルトン・ホテルによって注文された1台。1979年に、アメリカ・サウスカロライナ州から英国へ輸入されている。現在の管理者は、マン島モーター博物館。約500台のコレクションを誇るが、ジェットウェイ707は目玉車両の1台だ。
新車時の輝きは失われているが、現存する個体の中で、状態が最も良いのではないかと推測できる。調べてみると、アメリカに7台、それ以外の地域に9台が生き残っている。スクラップヤードなどに、放置された例もあるようだ。

このクルマは、現役を退いた瞬間に、鉄の塊になってしまう部類だろう。大陸に住む大家族か、サッカーチームのマネージャーでもない限り、必要としないはず。
それでも、注目度は高い。ガラガラの駐車場で撮影していると、次々にスマートフォンが向けられる。ヘリコプターが着陸できそうなほど長いルーフには、マーカーランプにエアホーン。巨大なラゲッジ用ラックも備わる。









































































































