日産キャシュカイ・アセンタ1.2 DIG-T 115

公開 : 2014.06.02 23:40  更新 : 2017.05.29 19:27

■どんなクルマ?

ここイギリスでデザイン、開発から組み立てまでを一貫して行っている日産の大人気車種、現行キャシュカイの中で最もエンジンが小さいモデルに試乗した。

今回の車両は2輪駆動モデルであり、あくまでシティ派SUVとして子供の送り迎えや、休日のちょっとした山でのキャンプなどをメインで使われることが予想される。そのようなオーナー達は不必要で重たい4輪駆動システムよりも、金を節約できること歓迎するであろうし、それに付随して車両自体も60から80kg軽くなるのだ。

数年前ではSUVにいくらターボ過給されているとは言え、117psで19kg-mのか細い1.2ℓ4気筒エンジンなど鼻で笑われ、軽くあしらわれる存在であっただろう。

しかし時代はダウン・サイジングである。近年のエンジン設計セオリーと時代の流れに柔軟な人々は小排気量でも信頼性を高めることで、スペースを有効活用しながらフリクションロスを減らすことが結果的に車両の軽快さを生み、性能や燃費、制動性の向上に繋がるということを主張している。

これらが日産がガソリンの1.2ℓ 16バルブ4気筒ターボ・エンジンを巷で話題のキャシュカイに搭載することを白羽の矢を立てた最大の理由である。一方でガソリン派でない方々のために112psを発生する1.5ℓdciディーゼル・エンジンもしっかりとラインナップされており、事実クラスのベストセラーとなっている。なおガソリン仕様の方が車両価格だけで判断した場合、少々お買い得となっている。

■どんな感じ?

性能データを見る限りでは我々が今年初めにテストした1.5ℓディーゼル・モデルと似通った部分がある。

今回の1.2ℓガソリン仕様は標準的な6速MTを搭載しディーゼル仕様より£1260(21万円)安く0-100m加速をディーゼルの12.4秒を上回る11.3秒で達成する。

その引き換えに燃費ではディーゼル仕様より2.8~3.5km/ℓ劣った14km/ℓ 後半となるが、実燃費では13~15km/ℓ である。しかしながらこれはSUVとしては他を差し置いて印象的であることに変わりはなく、決してディーゼルを悪く言うつもりはないが、多少燃費が違えども、ガソリン車独特の静かさ、スムーズさを優先事項とする顧客も多いであろう。

秀でて良い点は既に優れたステアリング・フィールを持つキャシュカイにガソリン・エンジンの単体重量の軽さが相まって回頭性が向上した。繰り返すようだが、われわれの行ったテストの際にもこの少しの違いが軽快性の中に際立っており、さながら上質なCセグメントに属するセダンを思い起こさせた。

キャシュカイの乗り心地の快適さは特に印象的で静かであるが、このサスペンションはイギリス内の様々な道路状況を考慮して開発されたために、いい意味でも悪い意味でも安定しすぎている部分がある。

キャシュカイのラインナップにおいてこの入門グレードのエンジンを搭載するアセンタは室内も印象的なトリム、便利でわかりやすいインストルメント類、統一された雰囲気に快適な前席と十分な広さを持つ後席を備え以前のモデルを凌駕した。このUK製のクロス・オーバーは既に相当数が販売され、今回の新しいエコなガソリン仕様もシェア拡大に貢献していくことであろう。

■「買い」か?

これはコンパクトで素晴らしいファミリー・サイズのSUVである。今回のアセンタが持つ上品な雰囲気は冒頭で述べたような用途が多いユーザーにはピッタリの一台であろう。そして実際にこのキャシュカイを選ぶとなった場合は御自身でガソリンか、はたまたディーゼルかということをじっくり悩んでほしい。

ガソリンは少しスムーズで静かだが燃費は劣る。しかし購入時は£1260(21万円)の節約になる。ディーゼルは洗練されているもののアイドリング時、特有のガラガラ音は付きものであり、巡航時にも少し割り込んでくる上にガソリン・エンジンのような高回転への吹けは期待できない。しかし一方で軽めのキャンピングカー牽引などにはもってこいの一台だ。

(スティーブ・クロプリー)

日産キャシュカイ・アセンタ1.2 DIG-T 115

価格 £19,580(334万円)
最高速度 184km/h
0-100km/h加速 11.3秒
燃費 17.8km/ℓ
CO2排出量 129g/km
乾燥重量 1434kg
エンジン 直列4気筒1197ccターボ
最高出力 115ps/5000rpm
最大トルク 19.4g-m/2000rpm
ギアボックス 6速マニュアル

おすすめ記事

 
最新試乗記

試乗記の人気画像