最小のクルマで、最小の国を走る フィアット・トポリーノがバチカン市国で正式採用(前編) マイクロモビリティが秘めた可能性

公開 : 2026.08.13 17:05

フィアット最小のモデルである『トポリーノ』が、世界最小の国であるバチカン市国で正式採用されました。マイクロモビリティとして性能もサイズも限られていますが、果たして活躍はできるのか。実際にバチカンを走りました。

バチカン市国を一周してみた

もし、ローマ教皇レオ14世が退屈を感じたら、バチカン市国の庭園を縫うように走る道路は素晴らしいラリーステージになるだろう。ただ、この都市国家の面積はわずか0.44平方キロメートルで、ロンドンのリージェンツ・パークとほぼ同じ大きさであり世界最小の国であるため、ステージとしてはかなり短いものになりそうだ。

とはいえ、限られた空間ながら、サン・ピエトロ大聖堂の裏手から総督府へと続く美しく手入れされた庭園を通り抜ける道路には、急勾配の上り坂や急な下り坂、数多くのヘアピンカーブ、いくつかのロングストレート、そしてテクニカルな曲がりくねった区間が詰め込まれている。そして、1周を走り終えるのにそれほど時間はかからなくても、運転していて楽しいと断言できる。

フィアット・トポリーノ
フィアット・トポリーノ

バチカン市国の住民は数人の枢機卿や教皇を含めて900人にも満たず、あらゆるものがこぢんまりとしている。ローマの喧騒から高い壁で隔てられ、とても穏やかな雰囲気が漂っている。しかし、真夏の混雑した日曜日にサン・ピエトロ広場を散策しようとしても、その小ささを実感することはできないだろう。

最高速度45km/hでちょうどいい

バチカン市国の道路は意外なほど交通量が多い。憲兵隊の公用車であるフォルクスワーゲンパサート、庭師たちが乗る荷物満載のバン、大型トラックなど多種多様なクルマを見かけるし、メインの入口の隣にあるサン・マルタ広場にはガソリンスタンドさえあった(料金表示を見る限り、教皇でさえエネルギー価格の高騰の影響を免れてはいないようだ)。また、総督府の宮殿の裏手には22kWのEV充電器が並んでいる。

しかし、これらの道路は基本的に私道であり、1929年のラテラノ条約によってバチカン市国が設立されて以来、ずっとそうであった。門にふらっと立ち寄って国際運転免許証を提示したからといって、自由勝手に散策できるわけではない。

フィアット・トポリーノ
フィアット・トポリーノ

実際、ほとんどの訪問者が徒歩で庭園を散策できる唯一の方法は、ガイドツアーに参加することだけだ。それなのに、今こうして筆者は、まさにその道路上で車両を限界まで走らせている。

まあ、乗っているのはフィアットの『トポリーノ』という超小型の四輪車であり、その「限界」とは45km/hに過ぎないのだが。そして、このドライブはややシュールなトポリーノの車列の一部である。その先導役を務めるのは、誰にもあまり楽しませないつもりらしい憲兵隊(パサートに乗っている)だ。

それでも、長い直線道路で少し後ろに下がれば、最高速度に達するのにちょうど十分なスペースを確保できる。ただし、前を走るトポリーノに追突して「世界一かわいい多重衝突事故」を引き起こさないよう、慎重にブレーキをかける必要がある。

記事に関わった人々

  • 執筆

    ジェームス・アトウッド

    James Attwood

    役職:雑誌副編集長
    英国で毎週発行される印刷版の副編集長。自動車業界およびモータースポーツのジャーナリストとして20年以上の経験を持つ。2024年9月より現職に就き、業界の大物たちへのインタビューを定期的に行う一方、AUTOCARの特集記事や新セクションの指揮を執っている。特にモータースポーツに造詣が深く、クラブラリーからトップレベルの国際イベントまで、ありとあらゆるレースをカバーする。これまで運転した中で最高のクルマは、人生初の愛車でもあるプジョー206 1.4 GL。最近ではポルシェ・タイカンが印象に残った。
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

フィアット・トポリーノがバチカン市国で正式採用の前後関係

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