チェリーやオートバックスを前面に出さない理由とは 新たな自動車会社『EMT』打越CMO単独インタビュー(後編) 自動車メーカーでもインポーターでもない
公開 : 2026.08.13 11:50
来年軽EV乗用車発売予定の『EMT』。開設したばかりの同社R&Dセンターで、日産、日本電産、ステランティス・ジャパンでキャリアを積んできた打越晋CMOに、森口将之が単独インタビューを試みました。前後編に渡ってお送りします。
チェリーはクルマをよく理解している
ここまで中国の自動車産業が成長した理由について打越氏は、海外から優秀な人材を積極的に採用し、さまざまなことを学ぼうとしている姿勢を挙げた。現在のように市場が大きくなり、技術的に進歩している今も、その姿勢は変わらないそうだ。
もちろん、巨大な市場があるからこそ開発スピードを上げることができる、という背景も付け加えていた。

チェリーは中国の民間系自動車メーカーの中ではキャリアの長いほうであり、輸出については長年にわたり同国でトップを維持している。
打越氏は、「電動化や自動運転が進んでもクルマはクルマだし、自分もクルマが好きだからこそ、クルマをよく理解しているチェリーのような会社と一緒に仕事ができることは安心感がある」と語っていた。
EVについては、打越氏は日産在籍時代に初代リーフから関わっており、当時は航続距離が短いなど、さまざまな課題があったが、日本へ戻って2代目を社用車として使いながら、普段使いに合っていると思ったそうだ。
軽自動車ユーザーの多くは地方に
そしてマーケティングについては、従来のこの業界のやり方から、少し変えていこうと考えているという。
「軽自動車のお客様は地方に多くいらっしゃいますので、地方のテレビ局やラジオ局とタイアップし、お客様と双方向のコミュニケーションが取れる番組やイベントなどを展開していく予定です。そうした場所で地道にブランドやクルマを知っていただき、そこでのご意見を開発へフィードバックしていくような取り組みを進めていきます」

たしかにこれまでのクルマのマーケティングは『都市型SUV』のように、都市に向けたものが多かった。しかし日本を代表する大都市である東京は、群を抜いてクルマの保有率が低い場所でもあり、真にクルマを欲しているのは地方である。現状をしっかり見据えたうえでの話は、とても説得力があった。
すでに35社ほどと進行中
さらにEMTは、システムも新しくしていくとのこと。クルマ自体にOTA(オンラインでのソフトウェア更新)を組み込むだけでなく、販売現場で使う顧客管理やディーラー管理のシステムにAIやDXを導入していく。
具体的には、成約などの成功事例をデータに蓄積し、別の販売員が商談するときにアドバイスを提示できるようにしていく。これによって商談の質を高めていける仕組みを構想しているとのことだ。

ディーラー網の構築やスタッフの確保については、まずオートバックスのどのぐらいの店舗で販売を行うか、販売する場合はどのような出店形態をとるか、多様なパターンを模索しているという。
その一方で、すでに他車を扱っているディーラーの経営者にも声がけをしている。現在は35社ほどと『次に向けて検討を進めましょう』という段階に入っているそうだ。
スタッフの確保については、店舗の形態や大きさに合わせて「このぐらいの人数をお願いします」と具体的な提示を始めているという。採用自体は簡単ではないとしつつ、未経験であっても前述の販売支援ツールを用いてしっかりとトレーニングしていくので、幅広い人材を採用してもらうようにお願いしているそうだ。














