ベントレーの会長に訊く 好調な販売の原動力は 完全EV化に向けての戦略は クルーの今後は

公開 : 2022.02.19 20:25

2021年に過去最高販売台数を記録したベントレーを率いる、エイドリアン・ホールマーク会長を直撃。いかにしてこの好調へと漕ぎ着けたのか、また、来るべき電動化時代に向けた今後の対策とは。気になる質問をぶつけました。

EV化してもベントレーは英国製

ビヨンド100と銘打ったプランに基づき、2025年からの5年間で5台のEVを新たに投入する戦略を掲げるベントレーは、2021年に過去最高の年間販売台数を記録するなど順調ぶりを示している。われわれはエイドリアン・ホールマーク会長を直撃し、好調の原動力について訊いた。

−−ベントレー初のEVはクルーで生産するとの意向を公表しましたが、そうならない可能性もあったのでしょうか。
「常に可能性はありました。しかし、この内燃エンジンからバッテリーEVへの過渡期にあって、インフラ投資を行わず、今ある生産キャパシティや設備をフル活用しなければというプレッシャーは、これまでになかったほど強いものがあります。しかしわたしたちには、英国製車両を最大限増やす義務があります。確約はできませんが、株主の方々がわたしたちを支持し続けてくだされば幸いです」。

過去最高の年間販売台数を記録するなど順調なベントレーの現在と未来について、ホールマーク会長に訊いた。
過去最高の年間販売台数を記録するなど順調なベントレーの現在と未来について、ホールマーク会長に訊いた。

−−25億ポンドもの投資計画を発表しましたが、その原資はどこから来るのでしょうか。また、どのような使途になっているのですか。
「わたしたちにとっての最重要事項は、投資がすべて自社のキャッシュフローで行われるということです。借り入れも、資金供出による赤字転換もありません。すべてキャッシュフローと準備金で賄える予定です。

使い道についてですが、率直にお話ししましょう。自動車開発は、設備投資以上のコストを要します。ですから、施設に注ぎ込むのは全体の15〜20%程度になると見積もっています。すでに、経営部門とテスト施設の一部を全面改修するために、多額のコストを費やしました。しかし、残りの80%ほどは、製品にかけることになります。ご存知でしょうが、どのクルマも莫大な経費が必要です。この開発プログラムは、4〜5年のスパンで進められます」。

−−ベントレーにとって、クルーの重要度はどれほどのものですか。
「どれほど、ですって?わたしたちは75年間もここに本拠を置いているんですよ。腕利きの従業員は4500人に達していて、ほとんどのサプライヤーを凌ぐ技術を誇ります。なぜなら、私たちはウッドやレザーなどのトリム製作を重要な仕事だと考えてきましたし、それはこの先もきっと続くからです。その点で今後もほかをリードしたいと思っても、スキルは一朝一夕に身に付くものではありません。そして、ここにいることで得られるアドバンテージは大きなものがあります」。

記事に関わった人々

  • 執筆

    ピアス・ワード

    Piers Ward

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    関耕一郎

    Koichiro Seki

    1975年生まれ。20世紀末から自動車誌編集に携わり「AUTOCAR JAPAN」にも参加。その後はスポーツ/サブカルチャー/グルメ/美容など節操なく執筆や編集を経験するも結局は自動車ライターに落ち着く。目下の悩みは、折り込みチラシやファミレスのメニューにも無意識で誤植を探してしまう職業病。至福の空間は、いいクルマの運転席と台所と釣り場。

関連テーマ

おすすめ記事

 

ベントレーの人気画像