アルピーヌ 「物理ボタン」重視のインテリア、新型A110に採用へ 操作感を優先

公開 : 2025.07.16 07:45

アルピーヌは来年発売予定の新型A110において、物理ボタンを重視したインテリアデザインを採用する方針です。運転への集中力を高め、「操作」の喜びを優先します。エクステリアは「レトロな要素は一切ない」とのこと。

人がクルマを操る

アルピーヌは、A110の次世代モデルに、物理的なボタンを重視した新しいコックピットデザインを採用する予定だ。ドライバー中心のレイアウトで、今後すべてのモデルに展開されるという。

来年発売予定の第3世代のA110は、EV専用モデルとなり、アルピーヌ専用設計のインテリアが採用される。また、デジタル操作系よりもアナログのスイッチギアを優先する。

現行型アルピーヌA110のインテリア
現行型アルピーヌA110のインテリア

アルピーヌのデザイン責任者であるアンソニー・ヴィラン氏は、グッドウッド・フェスティバル・オブ・スピードにおける新型SUV『A390』の発表の場で、次世代コクピットではドライバーの没入感を重視し、注意散漫を最小限に抑える方針を明らかにした。

「将来のA110を皮切りに、まったく新しい新世代のコックピットへと移行します。これまでと同じ要素を維持しつつ、さらに進化させていきます。これは今後発売されるすべてのクルマに採用される予定です」とヴィラン氏は述べた。

ホットハッチのアルピーヌA290は、ルノー5をベースにしているため、コックピットはルノー5とほぼ同じだ。一方、A390もルノー・メガーヌEテックと似た構成で、ほとんどの車載機能は12インチの縦型タッチスクリーンで操作する。

ヴィラン氏は、「顧客はテクノロジーを求めている」ため、このようなスクリーンが今では当たり前になっていることを認めつつ、アルピーヌのドライバー重視のモデルには、より従来型で物理的なアプローチが必要だと述べた。「そのため、デジタル要素を最小限に抑え、物理的なボタンを数多く採用します」

「スクリーンを数多く配置するというトレンドがありますが、正直なところ、運転に集中したい時はスクリーンに目を向けることはありません。重要な機能に直感的にアクセスできる必要があるのです」

「ドライバーと機械との間には感情的なつながりがあり、機械を操作するのは人間です。スクリーンが機械を操作しているわけではありません」

スポーツカーを購入する人は、自分で操作したいと思うものです。勝手に動くようなクルマは望ましくない。クルマを操りたい。自分で動かしたい。自分なりのルーティンがある。自分の好みに設定したい……」

「クルマが運転したり、操作したりするのではありません。その逆です」とヴィラン氏は語る。

レトロな要素は一切ない

また、ヴィラン氏は新型A110のエクステリアデザインについても触れ、1960年代の初代モデルに大きく影響を受けた現行型とは異なり、「レトロな要素は一切含まれていません」と明かした。

しかし、「A110のコード(記号、符丁)」は受け継がれるため、現在のミドシップエンジン車の後継車として認識できるだろうという。その代表例としては、4灯式のヘッドライトと、ずんぐりしたミドシップのシルエットが挙げられる。ただし、「フォルム」はA390に近く、鋭く尖ったノーズ、流線型のルーフライン、膨らんだアーチなどが特徴となる見込みだ。

新型A110の予告画像。シルエットとヘッドライトの形状が確認できる。
新型A110の予告画像。シルエットとヘッドライトの形状が確認できる。    アルピーヌ

ヴィラン氏は、全高は現行のガソリン車と同程度になることを強調し、EVでは一般的な床下にバッテリーを配置するのではなく、座席の後ろに配置するか、マセラティ・グラントゥーリズモ・フォルゴーレのようにT字型に配置するつもりであることをほのめかした。

「車高は低く保ちます。車高を低く抑えることが非常に重要なのです」と同氏は言う。

ヴィラン氏は新型A110の発表時期については明言を避けたが、現行型は生産終了まであと数か月しか残っていない。アルピーヌとしては、この象徴的なモデルの不在期間をできるだけ短くしたいと考えているはずだ。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マーク・ティショー

    Mark Tisshaw

    役職:編集者
    自動車業界で10年以上の経験を持つ。欧州COTYの審査員でもある。AUTOCARでは2009年以来、さまざまな役職を歴任。2017年より現職の編集者を務め、印刷版、オンライン版、SNS、動画、ポッドキャストなど、全コンテンツを統括している。業界の経営幹部たちには定期的にインタビューを行い、彼らのストーリーを伝えるとともに、その責任を問うている。これまで運転した中で最高のクルマは、フェラーリ488ピスタ。また、フォルクスワーゲン・ゴルフGTIにも愛着がある。
  • 執筆

    フェリックス・ペイジ

    Felix Page

    役職:副編集長
    AUTOCARの若手の副編集長で、大学卒業後、2018年にAUTOCARの一員となる。ウェブサイトの見出し作成や自動車メーカー経営陣へのインタビュー、新型車の試乗などと同様に、印刷所への入稿に頭を悩ませている。これまで運転した中で最高のクルマは、良心的な価格設定のダチア・ジョガー。ただ、今後の人生で1台しか乗れないとしたら、BMW M3ツーリングを選ぶ。
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

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