ベントレーの会長に訊く 好調な販売の原動力は 完全EV化に向けての戦略は クルーの今後は

公開 : 2022.02.19 20:25

高級車市場は成長が続く

−−やはり、積み重ねた歴史は大きい、ということですね。
「ただ、それだけではないのです。もしベントレーを買うような金額を支払おうというなら、その対象は本物である必要があります。そして、紛れもないベントレー製である必要が。ですから、わたしたちは常にフォルクスワーゲングループの設備で、生産プロセスのある部分をまかなっている一方で、このクルーの地でできる限りのことをするために力を尽くすつもりです。

ですから将来、EVでも同じようにするつもりです。シャシーやボディの工場は置きませんが、最新の塗装設備を新設します。また、先行試作車を製作するエンジニアリングプロトタイプワークショップとローンチクオリティセンターは刷新します。それによって、主要施設のホールに余地を作ります。その広さは、昨年1万4500台を送り出した現在の組み立てホールと同規模です。そこを完全にリノベーションして、新たな生産システムを設営します。フロアには、ガイドに従う自動トロリーと部品供給コンポーネンツを配置するのです。

新たな組み立て工場は、自動運搬システムを設置する。
新たな組み立て工場は、自動運搬システムを設置する。

ボディが運び込まれたら、わたしたちはそれを塗装し、現在と同様に価値を高めていく作業を行います。その工程は、英国のいかなる高級車メーカーよりも多いものです。有効なコストがかけられているので、クオリティは抜群です。それが、ベントレーをこの上なく本物感のあるものにしているのです」。

−−超高級車市場に関するあなたの展望は、非常に強気なようですが、それについてもう少しお話をうかがえますか。
「成長の伸び代は非常に大きいですね。どこから注力していくべきか判断しかねるかもしれないくらいに。コンチネンタルGTを発売した2003年には、クレディ・スイスによれば、株式や動産投資で100万ポンド(約1億5500万円)相当の資産を自由に動かせる人口は600万人と見られていましたが、それが今や3倍近くまで増加し、1700万人に迫る勢いです。GTやフライングスパーのようなクルマの市場規模は、2003年に年間3500台だったものが、昨年は6万8000台まで拡大しています。

今後も、需要拡大は安定して続くと見ています。そして、ゼロエミッション車やトータルでサステイナブルなサプライチェーンについて、もうひと押しして、高級車市場へ新世代の購買層を引き込むことができると考えています。12気筒エンジンには触れることがないような世代のユーザーを、です」。

記事に関わった人々

  • 執筆

    ピアス・ワード

    Piers Ward

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    関耕一郎

    Koichiro Seki

    1975年生まれ。20世紀末から自動車誌編集に携わり「AUTOCAR JAPAN」にも参加。その後はスポーツ/サブカルチャー/グルメ/美容など節操なく執筆や編集を経験するも結局は自動車ライターに落ち着く。目下の悩みは、折り込みチラシやファミレスのメニューにも無意識で誤植を探してしまう職業病。至福の空間は、いいクルマの運転席と台所と釣り場。

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