子どもは大人の半分じゃない! 意外と知らない「乗車定員」の数え方 軽には何人乗れる?

公開 : 2022.06.14 17:45

チャイルドシートはマスト?

ところで、子どもがクルマに乗る場合、考えなくてはいけないのがチャイルドシートの使用である。

6歳未満の子どもはチャイルドシートの使用が義務付けられているし、6歳以上であっても大人のシートベルトが安全に装着できる身長150cmまではジュニアシートが必要だ(日本も採択している最新の国連安全基準ECE R129においては身長150cmまで使えるジュニアシートであることが必須条件)。

人気のミニバン「トヨタ・アルファード」の3列目シート
人気のミニバン「トヨタアルファード」の3列目シート    トヨタ

チャイルドシートを使用する場合はまず、チャイルドシート本体をシートベルトまたはISO FIXで固定する必要がある。

となると、当然だが乗車定員分のシートにしか装着ができない(ISO FIXチャイルドシートの場合は、ISO FIXアンカーが装備された座席のみ)。

乗車定員をこえることはなくても、シートベルトは乗車定員分しかクルマに装備されていないため、後部座席に子どもが4人乗ったとして、少なくとも1人はベルトもチャイルドシートもない状態になる。

この状態は道交法的にはどうなるのだろうか?

実は道路交通法施行令 第26条の3の2第1項には、「座席ベルト及び幼児用補助装置に係る義務の免除」というとんでもなくおそろしい「免除」の規定がある。

以下がその内容だ。

「運転者席以外の座席の数以上の数の者を乗車させるため乗車させる幼児の数に等しい数の幼児用補助装置のすべてを固定して用いることができない場合において、当該固定して用いることができない幼児用補助装置の数の幼児を乗車させるとき(法第五十七条第一項本文の規定による乗車人員の制限を超えない場合に限る)」(幼児用補助装置=チャイルドシート)

意外と知られていない? 軽の定員

「座席ベルト及び幼児用補助装置に係る義務の免除」においては、シートベルトが足らなくてチャイルドシートが装着できなくても乗車定員内ならチャイシーもベルトの着用義務が子どもも大人も(運転者以外)免除される。

だからといってベルトのない席に子どもを座らせるリスクは非常に高い。

室内空間が広い軽自動車が増えてきたが、ホンダNボックスのようなタイプでも乗車定員は大人4人なのだ。
室内空間が広い軽自動車が増えてきたが、ホンダNボックスのようなタイプでも乗車定員は大人4人なのだ。    ホンダ

ベルトが足らなければ、レンタカーやカーシェアを借りるか、タクシーなどの公共交通機関を利用して移動するのが常識というものだろう。

また、子どもの乗員の数え方とともに、軽自動車の乗車定員が4名であることを知らない人も存在する。

普段は自家用車を持たず、カーシェアやレンタカーを年に数回利用するような層だ。

近年は値段が安い軽やコンパクトカーの中古車レンタカーを扱う店舗も増え人気を高めている。

そしてここでも問題になっているのが「乗車定員」だ。

軽自動車も普通車と同じ5人乗りだと思っている人は想像以上に多く存在する。

クルマを借りて後部座席に3人乗ろうとして初めて「ベルトが2本しかない」と気付くパターンだ。

最近の軽自動車は後部座席の幅にもゆとりがあり、また室内高もたっぷりとってあるため、スペース的には後席に大人2人+子ども1人程度であればゆったり座ることができる。

普段後席のベルトは付けないしチャイルドシートも使わないような家庭であれば、おそらく軽レンタカーを借りて返したあとでも「後席は定員2名」だと気づかないまま終わるケースもあるだろう。

軽自動車の定員は4名であり、後席には大人2名または、子どもだけなら3名までしか乗れない。

さらに後席に大人1名が乗ったら、残り1座席の定員は×1.5人となるため、子どもであっても大人と同じ1人しかのれないのだ。

定員オーバーで走行することは道路交通法第57条の「定員外乗車」違反にあたる。

違反の対象となるのはドライバーで、定員外となった乗員ではない。

点数と反則金は以下のとおり。

小型特殊車/原付:1点5000円
普通車/二輪車:1点6000円
大型車:1点7000円

違反点数は1点で反則金も高額ではないが、ベルト無しで衝撃の大きな事故に遭遇したときは悲惨な結末が待っている。

ほぼ確実に車外放出されて命を落としたり、身体そのものが凶器となって他の乗員を傷つけたりする危険性も出てくる。

急ブレーキ程度の衝撃でも座席から転がり落ちてけがをする可能性も大きい。

ドライバーにも重い責任が問われるので「たかが定員オーバー」と侮るなかれ。

記事に関わった人々

  • 執筆

    加藤久美子

    Kumiko Kato

    「クルマで悲しい目にあった人の声を伝えたい」という思いから、盗難/詐欺/横領/交通事故など物騒なテーマの執筆が近年は急増中。自動車メディア以外ではFRIDAY他週刊誌にも多数寄稿。現在の愛車は27万km走行、1998年登録のアルファ・ロメオ916スパイダー。クルマ英才教育を施してきた息子がおなかにいる時からの愛車で思い出が多すぎて手放せないのが悩み。

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