費用対効果では有利 サンヨン・コランド e-モーションへ試乗 拭えない荒削り感

公開 : 2022.06.20 08:25

荒削りなインテリアや動的能力

インテリアは、ボディより好印象。大人4名か、両親+子供3名の家族に不満ない車内空間が用意されている。荷室空間は551Lあり、こちらも広い。

とはいえ、内装パネルは省コストを感じさせる、光沢の強いプラスティックがメイン。シボのテクスチャが与えられているが、魅力的とまではいえない。

サンヨン・コランド e-モーション(英国仕様)
サンヨン・コランド e-モーション(英国仕様)

反面、スイッチ類など操作系のレイアウトは従来的で、直感的に扱える。メーターの表示はクリアで、シートの快適性も悪くない。

コランド e-モーションを発進させてみると、車内へ響くノイズが小さいことに気付く。駆動用モーターのトルクが瞬間的に立ち上がり、純EVへの期待通り、活発に運転できる。

タイヤはネクセンを履いていたが、グリップ力はほどほど。トラクションとスタビリティ・コントロールが、安全性を損なわないように介入してくれる。その機能をオフにもできるが、パワー・アンダーステアやトルクステアが目立つだけだった。

ステアリングの操舵感は重め。レシオはクイック過ぎず、スロー過ぎず。一貫した穏やかな反応は、アクセルレスポンスともバランスが取れている。

姿勢制御はおおらかで、ひと昔前のオフローダーのようにコーナーではボディが外側へ傾く。路面の凹凸が目立つようになると、乗り心地で教えてくれる。動的能力の仕上げは、荒削り感が拭えない。

費用対効果ではライバルより有利

コランド e-モーションには、乗り心地や操縦性、インテリアなど褒めにくい部分もある。一方で、その強みを考えれば購入を否定するほどのレベルではない、ともいえる。

ボディサイズや実用性、装備、航続距離、7年間の保証などを踏まえると、英国でも一定の支持は集めるだろう。内燃エンジンと同等の価格で純EVのSUVに乗れる、という事実は大きい。

サンヨン・コランド e-モーション(英国仕様)
サンヨン・コランド e-モーション(英国仕様)

もちろん、ドライビング体験で優れる純EVも、より欲しいと思わせる純EVも、すでに数多く存在する。だが費用対効果では、サンヨン・コランド e-モーションが有利なことも否定できないだろう。

サンヨン・コランド e-モーション(欧州仕様)のスペック

英国価格:3万495ポンド(約497万円)
全長:4450mm
全幅:1870mm
全高:1629mm
最高速度:156km/h
0-100km/h加速:9.0秒(予想)
航続距離:339km
電費:5.9km/kWh
CO2排出量:−
車両重量:1765kg
パワートレイン:永久磁石同期モーター
バッテリー:55.3kWhリチウムイオン(実容量)
最高出力:190ps
最大トルク:36.7kg-m
ギアボックス:−

記事に関わった人々

  • 執筆

    マット・ソーンダース

    Matt Saunders

    英国編集部ロードテスト・エディター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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