V2Gは儲かる? EVに蓄えた電力で電気代が半額に… 欧州で実証実験進む

公開 : 2022.07.02 06:25

V2G充電器は安くない… 投資は回収できる?

英国のガス・電力市場局(Ofgem)は、2021年のOZEVの実証試験に関する報告書の中で、V2G充電器の大量生産により価格が1000ポンド(約16万円)程度まで下がると予測。投資回収期間は「ゆうに5年を下回る」と見込んでいる。

ポッター氏は、V2Gが普及すれば電力網のバランスが整い、安価な再生可能エネルギーの利用を促進するため、エネルギー価格が下がり、ひいてはV2Gの売電価格も下がるだろうと述べた。また、「それを補うために、電力会社は顧客に電力を貯めるためのインフラ料金を支払うかもしれない」としている。

オーム社の家庭用次世代EV充電器「Home Pro」の価格は現在、949ポンド(約15万円)からとなっている。
オーム社の家庭用次世代EV充電器「Home Pro」の価格は現在、949ポンド(約15万円)からとなっている。

V2Gの専門家は、あらかじめ決められた時間帯ではなく、料金が変わった瞬間に最も安い電力会社に接続する次世代の充電器を導入すれば、さらに恩恵を受けられると述べている。

1000ポンドの電気代削減を謳う次世代充電器「Home Pro」を販売するオーム(Ohme)の商業ディレクター、イアン・ウォーカー氏は、次のように語っている。

「Home Proは、リアルタイムで電力網と統合することで需要のバランスを取ることができます。これは、現在の形のV2Gよりも賢く、安く、ドライバーにとっても簡単です」

再生可能エネルギーの供給会社であるオクトパスエナジーは、V2Gと次世代充電器を組み合わせることで、よりバランスのとれた電力供給と料金の節約が可能になると述べている。V2Gに関しては、電力需要の高い夕方などのピーク時には15ポンド/kWh、それ以外の時間帯には5ポンド/kWhの2つの料金体系を試験中である。

オクトパスエナジー・グループのEV子会社であるオクトパス・エレクトリック・ビークルズで技術担当ディレクターを務めるクレア・ミラー氏によると、V2Gを利用して月36ポンド(約5800円)節約した顧客もいれば、V2Gと次世代充電を組み合わせて年間177ポンド(約2万8000円)節約した顧客もいるという。

「V2Gは実質的な節約に役立ちます」とミラー氏。「わたし達はその発展を注意深く見守っており、一部のメーカーが、V2G充電器を簡素化するために必要なインバータ技術を新型車に搭載することを検討していると聞き、モチベーションを高めています」

記事に関わった人々

  • 執筆

    ジョン・エバンス

    John Evans

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    平成4年生まれ。テレビゲームで自動車の運転を覚えた名古屋人。ひょんなことから脱サラし、自動車メディアで翻訳記事を書くことに。無鉄砲にも令和5年から【自動車ライター】を名乗る。「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。イチゴとトマトとイクラが大好物。

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