アメリカの高級SUV復活 ジープ・ワゴニアへ試乗 5.7L V8 MHVで397ps 直6も予定

公開 : 2022.08.28 08:25

広々とした空間でプレミアムなインテリア

大きなボディは、クラシカルだった以前のワゴニアと比べるとエッジが丸い。サイドシルエットは明確な2ボックスで、3列シートを余裕で収めている。

2スポークのステアリングホイールなど、インテリアのディティールには先代からの影響がうかがえる。かといってレトロ感はなく、全体的にデザインはモダン。上級なグランド・ワゴニアの場合は、ウォルナット・パネルで装飾される。

ジープ・ワゴニア・シリーズII(北米仕様)
ジープ・ワゴニア・シリーズII(北米仕様)

通常のワゴニアでも素材の質感は高く、組み立て品質も良好。プレミアムなモデルの位置づけに対応できている。ステランティス・グループの最新作としても、不足は感じられない。

当然のように、ダッシュボードの中央には大きなタッチモニターが鎮座する。Uコネクト5と呼ばれるインフォテインメント・システムを実装し、従来のシステムより動作は5倍も速いそうだ。

オプションとして、助手席の正面にもエンターテイメント用のモニターを追加できる。アマゾン・ファイアTVの視聴も可能だとのこと。

座り心地の良いシートは、3列ともソフトなナッパレザー仕立て。ジープによれば、2列目と3列目の膝下空間は、このクラスで最大のゆとりがあると主張する。確かに、筆者の10代後半の息子も3列目へ快適に座れていた。少々、乗り降りは大変そうだったが。

3列目を起こした状態での荷室容量は776Lと大きく、これも主なライバルを凌駕する。リアアクスルの位置が高いため、荷室のフロアも高いけれど。

前例ないほど洗練されたドライブフィール

全長が5453mmもあり、22インチという巨大なアルミホイールを履くワゴニアだが、想像より運転はしやすい。シャシーとボディが別体ながら、ジープとしては前例がないほど洗練されている。フレームの幅は、フルサイズ・ピックアップのラムより広いという。

ちなみに、新しいワゴニアにはロングボディのLも用意された。こちらの全長は5758mmと、さらに300mm以上も長くなる。

ジープ・ワゴニア・シリーズII(北米仕様)
ジープ・ワゴニア・シリーズII(北米仕様)

サスペンションは前後とも独立懸架式。コーナーでもボディロールは抑制され、路面の剥がれた穴などを高速で通過しない限り、その事実をドライバーには感じさせない。大径ホイールながら、衝撃が伝わってきても不愉快なほどではなかった。

ブレーキングも好印象。高速域から力強く減速し、ブレーキペダルの感触もしっかりしていた。試乗車はペダルのヒンジ部分から摩擦音が出ていたが、生産が進むと改善されるだろう。

燃費は、5.7L V8エンジンのワゴニアでは、都市部で6.4km/L。高速道路などを交えた複合条件でも7.3km/Lと、褒めにくい。

北米でもバッテリーEVへの流れは進んでいるが、まだ燃料を大量に燃やすSUVへの需要は小さくない。とはいえ、近年はガソリン価格が高騰しており、右足を控えめに操作しようと考える人も多いはず。

ジープ・ラングラーにはプラグイン・ハイブリッドが追加され、人気を博している。ワゴニアへも可能な限り早期に導入しようと、計画が進められている。

ジープ・ワゴニア・シリーズII(北米仕様)のスペック

英国価格:5万2000ポンド(約858万円/予想)
全長:5453mm
全幅:2123mm
全高:1920mm
最高速度:188km/h
0-100km/h加速:7.0秒(予想)
燃費:7.3km/L
CO2排出量:323g/km
車両重量:2808kg
パワートレイン:V型8気筒5654cc+ISG
使用燃料:ガソリン
最高出力:397ps/5600rpm
最大トルク:55.7kg-m/3950rpm
ギアボックス:8速オートマティック

記事に関わった人々

  • 執筆

    グラハム・ヒープス

    Graham Heeps

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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