ランドローバー・ディスカバリー・スポーツRダイナミックHSE P300e試乗 日本市場にちょうどいい

公開 : 2022.08.29 05:45

3気筒1.5Lは意外とおとなしい?

実は、1.5Lの排気量が大きな3気筒エンジンが動き出したら、安っぽいノイズとバイブレーションがはっきりと伝わってくるのだろうと覚悟していたのだが、意外や意外、これが驚くほど静かで滑らかだった。

少なくとも、同じディスカバリー・スポーツに積まれる4気筒ディーゼルエンジンと同等か、それよりもおとなしいと思わせるほど洗練されていたのだ。

ランドローバー・ディスカバリー・スポーツRダイナミックHSE P300eのエンジンのオン/オフ時の振動や騒音の変化幅は小さい。
ランドローバー・ディスカバリー・スポーツRダイナミックHSE P300eのエンジンのオン/オフ時の振動や騒音の変化幅は小さい。    近藤浩之

たとえば、50-60km/hで走っている範囲では風切り音やロードノイズにかき消されてエンジン音は聞こえない。

だからといってキャビンがいつでもうるさいかといえばそんなことはなく、全長4.6mのSUVとしてはむしろ静かな部類に入る。

いっぽうのエンジン・バイブレーションは、注意して観察すれば3気筒特有のゴロゴロした感触がステアリングを通じて伝わってくるものの、これも感覚を研ぎ澄ませていなければ気づかない範囲。

いずれにせよ、エンジンのオン/オフに伴う振動と騒音の変化幅は小さいので、エンジンがかかるたびにがっかりさせられることは車速を問わずないはず。この辺の完成度は極めて高いと評価できる。

ちなみに、今回の試乗で唯一「ややうるさい」と感じたのは、粒立ちが荒いアスファルトを走ったときのロードノイズのみ。それ以外は実に静かで、心地いい時間を過ごすことができた。

秀逸 インテリアもポイント

乗り心地は、路面への当たりがソフトなことがまず印象に残った。

ただし、Rダイナミックというスポーティなグレードのためか、ランドローバーらしいゆったりとしたホイールストロークを感じさせる場面はほとんどなく、ボディをしっかりとフラットな姿勢に保つタイプだった。

ランドローバー・ディスカバリー・スポーツRダイナミックHSE P300eのインテリアデザインはレンジローバーと呼びたくなるほどの質感の高さ
ランドローバー・ディスカバリー・スポーツRダイナミックHSE P300eのインテリアデザインはレンジローバーと呼びたくなるほどの質感の高さ    近藤浩之

それでも、限られたストロークのなかで路面からのショックを効率的に吸収している印象が強く、全般的には快適。

ちなみに、タイヤは235/50R20サイズのピレリPゼロ(オールシーズン)が装着されていた。

フルモデルチェンジを果たしたディカバリースポーツは足まわりのコンプライアンスが劇的に減少し、極めて正確なステアリングを得ているのが特徴の1つだが、このキャラクターは試乗車でもまったく変わらず、たとえば首都高速道路を走るようなシーンでもストレスを覚えなかった。

この快適性とハンドリングのバランスは、同クラスのSUVとしてトップクラスに位置していると思う。

それとともにあらためて指摘しておきたいのが、インテリアのクオリティとデザイン性だ。

これらの点もフルモデルチェンジで劇的に進化したが、とりわけシンプルでありながら質感の高いインテリアデザインは秀逸。

ブランド的にはランドローバーではなくレンジローバーと呼びたくなるほどの仕上がりだ。

また、レンジローバーやディフェンダーよりも一段とコンパクトなボディサイズは日本の都市部でも実に使いやすい。

しかも、1日あたりの走行距離が短いユーザーであれば、バッテリーを有効活用することでランニングコストを低く抑えることも可能なはず。

おまけに快適性や質感で安っぽさを感じさせないのだから、ディスカバリー・スポーツPHEVは日本市場にぴったりのプレミアムSUVといえるだろう。

ランドローバー・ディスカバリー・スポーツRダイナミックHSE P300eのスペック

価格:785万円
全長:4610mm
全幅:1905mm
全高:1725mm
ホイールベース:2741mm
車両重量:2093kg
パワートレイン:直列3気筒1498ccターボチャージャー+ISG+電気モーター
最高出力(システム総合):309ps/5500rpm
最大トルク(システム総合):55.1kg/2000-2500rpm
ギアボックス:電子制御9速オートマティック

ランドローバー・ディスカバリー・スポーツRダイナミックHSE P300e
ランドローバー・ディスカバリー・スポーツRダイナミックHSE P300e    近藤浩之

記事に関わった人々

  • 執筆

    大谷達也

    Tatsuya Otani

    1961年生まれ。大学で工学を学んだのち、順調に電機メーカーの研究所に勤務するも、明確に説明できない理由により、某月刊自動車雑誌の編集部員へと転身。そこで20年を過ごした後、またもや明確に説明できない理由により退職し、フリーランスとなる。それから早10数年、いまも路頭に迷わずに済んでいるのは、慈悲深い関係者の皆さまの思し召しであると感謝の毎日を過ごしている。
  • 撮影

    近藤浩之

    Hiroyuki Kondo

    某自動車雑誌を経てフリーに。2013年に(株)スカイピクチャー設立(とはいっても1人で活動)。仕事は写真/動画の撮影編集、たまに作文。対象はクルマを始め、建築/フード/人物など幅広いが、要は何でも屋の便利屋。苦手なことは、自分のプロフィールを自分で書くこと(要はこの文章)

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