EVなことを忘れる馴染みやすさ アウディQ4 eトロン(最終回) 長期テスト 優れたファミリーSUV

公開 : 2022.10.01 09:45

航続距離や充電で困ることはナシ

長期テスト車両は、途中で4万6490ポンド(約767万円)の40 スポーツバックへ変更された。パワートレインの仕様は同じで、航続距離も同等。乗りやすさにも目立った違いはなかった。

日々の通勤にも使った。職場での充電も可能で、長距離旅行も含めて駆動用バッテリーの残量や航続距離に悩まされた場面はほぼなかった。

英国の急速充電スポット、グリッドサーブ・エレクトリック・フォアコート
英国の急速充電スポット、グリッドサーブ・エレクトリック・フォアコート

旅先では途中の充電器を利用したわけだが、グリッドサーブ社のエレクトリック・フォアコートと呼ばれる充電インフラには感心させられた。BEV時代の新しいサービスステーションといえる。

350kWの急速充電器がたくさん並んでおり、空きを心配する必要はナシ。最大135kWで充電できるQ4 eトロンのバッテリーも、短時間で満たせた。約30分で50%分の電気を得られ、料金は20ポンド(約3300円)だった。

長期テスト車両の点検中、代車でやって来たのはスポーツバックの50 クワトロ。前後2基の駆動用モーターで299psの最高出力を発揮し、77kWhの駆動用バッテリーを搭載していた。

Sラインという上級トリムグレードで、英国価格は5万4970ポンド(約907万円)。仕上がりの差を考えると、40 スポーツバックと比べて割高に感じられたことは事実だ。

加速は鋭いし、インテリアも豪華。ステアリングホイールも専用品ではある。ベルギーやオランダでの休暇も楽しませてくれたが、40 スポーツバックがQ4 eトロンのベストモデルに思える。見た目も車内空間も、大きな違いはない。

優れた体験を濁したソフトウェアのエラー

Q4 eトロンの体験を濁していたのがソフトウェア。乗り換えた前でも後でも、幾つかのバグが含まれていた。

当初の40の場合、インフォテインメント・システムが何度もクラッシュし、再起動を迫られた。その後に警告灯が点灯してしまい、ディーラーへ持ち込んでいる。

アウディQ4 eトロン・スポーツバック 40 スポーツ(英国仕様)
アウディQ4 eトロン・スポーツバック 40 スポーツ(英国仕様)

乗り換えた40 スポーツバックはしばらく快調だったものの、スピードメーターにエラーが生じ、そこからインフォテインメント・システムのクラッシュも引き起こした。こちらもディーラーへ持ち込んだが、原因は掴めなかったようだ。

Q4 eトロンとの時間は基本的には素晴らしいものだった。プロダクトとして関心を持てたし、実用性も高かった。だが、ソフトウェアがそれを乱していたことは間違いない。

この件に関しては、英国の読者からも少なくないメールが寄せられた。高速道路を走行中、ソフトウェアが完全に固まってしまったケースもあったようだ。

アウディとしても、アップデートの必要性は認識しているという。Q4のソフトウエアには既知の問題があると、読者の1人はディーラーの担当者から告げられたという。早く改善されると良いのだけれど。

半導体不足が解消するまでに、ソフトウェアの見直しも完了できれば望ましい。より多くのユーザーが、本来のQ4 eトロンを楽しめるようになる。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マーク・ティショー

    Mark Tisshaw

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

長期テスト アウディQ4 eトロンの前後関係

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