元に戻せる電動化キット エレクトロジェニック・ポルシェ911 964へ試乗 充足感は低くない 前編

公開 : 2023.03.30 08:25  更新 : 2023.03.30 08:44

62kWhの駆動用バッテリーはフロントに

さらに、メーターパネル内のメーター類をBEVへ対応したものへ置換するアイテムも含まれる。変更内容は最小限に留められており、数年後に気分が変わっても、内燃エンジンで走る状態へ戻すことも可能だという。

試乗したデモ車両の場合、燃料計はバッテリーの残量計に、油温計は水冷式駆動用モーターの温度計に、油圧計は駆動用バッテリーの回生量計へ交換されていた。ただし、速度計と時計はそのまま。モーターの回転速度計もある。

エレクトロジェニック・ポルシェ911 964(英国仕様)
エレクトロジェニック・ポルシェ911 964(英国仕様)

車内空間は、オリジナルの911と同等の広さ。マニュアルのシフトレバーがあった場所には、ドライブギアのセレクタースイッチが据えられているが、それ以外はオリジナル状態が保たれている。+2のリアシートも残されている。

フロント側の荷室は、62kWhの駆動用バッテリーで専有されている。ちょっとした荷物も、車内へ置く必要がある。リアの水平対向6気筒エンジンは、駆動用モーターに置き換わっている。

前部に搭載された軽くない駆動用バッテリーの影響で、リア寄りの重量バランスは改善している。理論上は、操縦特性にメリットが生まれると考えられるが、実際は必ずしもそうとはいえないようだ。

ステアリングホイールを握り発進させてみると、効果的にレストモッドされたポルシェと同等に運転しやすい。日常的にクラシック・スポーツカーへ乗りたいと考えるオーナーを、満足させるに違いない。BEVが普通になる近未来の世界でも、堂々と走れる。

この続きは後編にて。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マット・ソーンダース

    Matt Saunders

    英国編集部ロードテスト・エディター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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