B＆Oのオーディオの音も。ステキなデザインやイイモノ感で、あとギミックもバッチリで、でも聴くと……という評価がそのスジ（ホームオーディオ方面？）ではポピュラーであるようだけれど、筆者にはちゃんといい音に聴こえた。あるいは車両価格に見合ったレベルの。市販車の純正オーディオのなかで今これがベストだといわれても疑わない。オーディオ好きの知り合いに彼の手持ちのCDを何枚か聴いてもらったところ、「ここまでくると、音源の録音品質の高い低いがモロにバレますねえ」。ダンピングがしっかり効いている感じは、これもやはり車体のよさによるものだろうか。たぶん、そう。

といった次第でS8、運転をほかの人に任せて乗っているとまことによろしい。満足感が高い。あるいは、普段おとなしくしているエンジンのリードを外してやって、どこかの試乗記のタイトルにあったようにridiculously fastな動力性能をクワトロのド安定とともに堪能するのもいいかもしれない……が。

ハンドルがヘン。低速ではクイック、高速ではスローというのは、それだけだったらまだいい。でも、ハンドルを回している最中にどんどんと連続的にレシオが変わっていく感じはどうにも運転しづらい。操舵系のなかにCVTが入り込んでいる感じ。せっかくの馬鹿な速さ＋せっかくのクワトロなのに、高速巡航中「横風、強いのか？」な手応えが（実際には横風特に強くもなし）。ここに関しては巨大幅広扁平タイヤを履きこなせていないのではないかとも考えたけれど、どうも元凶はステアリング系クサい。

車両のキャラ設定をダイナミックにすると、そのCVT感はなくなる（途中になにか余計なモノが黙って潜んでいる感じは残るけれど）。でもこれ、ワザとらしく重さがのっけられている。なにより、エンジンやアシの制御もダイナミックに……という場合は個別設定へ。と、ハンドルの制御モードだけをダイナミックにすることが可能に。でもなあ……。頼むからこれ（可変レシオ）、オプションであってくれ。

それとブレーキ。踏力一定でG一定、の制動にならないことがあった。少し抜きぎみにしてやらないと、制動Gがきゅうっと（夜だとフツーになった）。

(文・森 慶太　写真・花村英典)

アウディS8

価格	1666.0万円
0-100km/h	4.1秒
最高速度	250km/h
燃費	10.4km/ℓ
CO₂排出量	225g/km
車両重量	2080kg
エンジン形式	V8DOHCツインターボ, 3992cc
エンジン配置	フロント縦置き
駆動方式	4輪駆動
最高出力	520ps/5800-6400rpm
最大最大トルク	66.3kg-m/1700-5500rpm
馬力荷重比	250ps/t
比出力	130ps/ℓ
圧縮比	9.3:1
変速機	8段A/T
全長	5145mm
全幅	1950mm
全高	1455mm
ホイールベース	2995mm
燃料タンク容量	82ℓ
荷室容量	510ℓ
サスペンション	(前)5リンク
	(後)トラペゾイダル
ブレーキ	(前)φ400mm Vディスク
	(後)φ365mm Vディスク
タイヤ	265/35R21