「公道だけで乗る最高の911とは」 ポルシェ911 GT3 S/C(1) 75kg減量でクーペへ並ぶ車重 目隠しなら違いはわからず

公開 : 2026.08.06 18:05

世界屈指のドライバーズカー、ポルシェ911 GT3にコンバーチブルのS/C登場。75kgの軽量化で車重はクーペへ接近し、ダイナミックな能力は変わらず、音響体験の魅力は強化されました。UK編集部が試乗します。

「公道だけで乗るなら、最高の911とは何でしょう?」

究極と呼ぶべきか、特異と呼ぶべきか。世界屈指のドライバーズカー、ポルシェ911 GT3のカブリオレ版と表現できる、911 GT3 S/Cが登場した。

一般的に、カブリオレはクーペよりボディ剛性が劣る。ボディシェルを上側で支持する、一体のルーフが備わらないから。車重が増え、走行性能に影響が生まれることも普通だ。GT3のカブリオレと聞いて、違和感を感じるのは筆者だけではないだろう。

ポルシェ911 GT3 S/C(英国仕様)
ポルシェ911 GT3 S/C(英国仕様)

ポルシェのGTシリーズを統括する技術者、アンドレアス・プレウニンガー氏も「最大の論点は、その理由にあるでしょう」と認める。そして、こう続ける。「公道だけで乗るなら、最高の911とは何でしょう?」。911 GT3 S/Cは、その答えだ。

サーキットが大前提ではなく、初夏の早朝や日没後に、交通量の少ないお気に入りのルートを気持ち良く走るためのGT3。巨大なウイングを省いたGT3 ツーリングの特長はそのまま、一層の音響体験を求めた仕様ともいえる。

クーペへ並ぶ車重に抑えるべく75kgのダイエット

プレウニンガーは、「GTシリーズを購入する理由のトップ3に、サウンドが入ります」と説明する。スピードスターやスパイダーのオーナーは、手動式ソフトトップを否定しないが、電動で開閉するなら10kgの増加は許せると、以前から訴えてきたという。

そして2026年に、その希望は叶えられた。電動ソフトトップは、49km/h以下なら走行中でも12秒で開閉できる。「もっと早く実現しても、良かったかもしれません」。彼が微笑む。今のところ、注文状況は好調らしい。

ポルシェ911 GT3 S/C(英国仕様)
ポルシェ911 GT3 S/C(英国仕様)

911 ターボS カブリオレの場合、車重はクーペより74kg重い。そのうち、ソフトトップ関連の増加分は30kg程度とのこと。この構造体には軽いマグネシウムが多用され、かなり軽く仕上がっている。GT3 S/Cにも、そのまま流用された。

残りの増加分は、ボディシェルに関係している。約27kN/度のねじり剛性を高めるべく、各部が補強されているからだ。だがGT3 S/Cでは、クーペへ並ぶ車重に抑えるべく、75kgぶんのダイエットが施されている。

ライトウェイト・パックが標準でドアはカーボン製

GT3 S/Cでは、ライトウェイト・パッケージが標準で装備される。前が20インチ、後ろ21インチのホイールは、マグネシウム製のセンターロックで、通常のアイテムより9.1kgも軽量。カーボンセラミック・ブレーキディスクは、20.3kg車重を落とせる。

フロントフェンダーとドアパネルは、秀抜な911 S/T譲りとなるカーボン製。通常のGT3 ツーリングには組めない部品で、僅かに形状も異なる。ボンネットもカーボン製になり、リアシートは省かれ、トランスミッションは6速マニュアルのみとなる。

ポルシェ911 GT3 S/C(英国仕様)
ポルシェ911 GT3 S/C(英国仕様)

サスペンションのアーム類なども、軽いカーボン製。これは、ヴァイザッハ・パッケージに用いられる部品だという。

果たして、車重はエンジンオイルやガソリンを満たして、1497kg。6速MTを組んだクーペのGT3は1462kgだから、多少は重いものの、PDK仕様で比べれば無視できる差だといっていい。シート後方の不要な荷物を下ろせば、実質的な違いはなくなるはず。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マット・プライヤー

    Matt Prior

    役職:編集委員
    新型車を世界で最初に試乗するジャーナリストの1人。AUTOCARの主要な特集記事のライターであり、YouTubeチャンネルのメインパーソナリティでもある。1997年よりクルマに関する執筆や講演活動を行っており、自動車専門メディアの編集者を経て2005年にAUTOCARに移籍。あらゆる時代のクルマやエンジニアリングに関心を持ち、レーシングライセンスと、故障したクラシックカーやバイクをいくつか所有している。これまで運転した中で最高のクルマは、2009年式のフォード・フィエスタ・ゼテックS。
  • 翻訳

    中嶋けんじ

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

ポルシェ911 GT3 S/Cの前後関係

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