VWの「GTI」ついに電動化 スポーツEVコンセプト「ID.GTI」初公開 2027年発売へ

公開 : 2023.09.04 19:45

先進的ながらGTIらしいインテリア

フォルクスワーゲンのデザイン責任者であるアンドレアス・ミント氏は、「ID.GTIコンセプトによって、GTIのフィロソフィーに素晴らしい未来があることを示しました。最初にID.2を描いたとき、わたしはすでにGTIを念頭に置いていました。それが今、現実のものとなり、GTIのアイデアを電動モビリティの新時代に投影することを可能にしているのです」と述べている。

ボディサイズは全長4104mm、全幅1840mm、全高1499mmと、現在のポロGTIよりもわずかに大きい。

フォルクスワーゲンID.GTIコンセプト
フォルクスワーゲンID.GTIコンセプト    フォルクスワーゲン

インテリアにもGTIらしいデザイン要素が受け継がれており、12時位置の赤いマーカーが特徴的な3本スポーク・ステアリングホイール、チェック柄の「Jack-e」という新しいシート生地、インフォテインメント操作用のゴルフボール型ダイヤルが採用されている。

10.9インチのデジタル・ディスプレイは、初代ゴルフGTIのメータークラスターによく似た「アナログ」モードにも設定できる。

12.9インチのセンタータッチスクリーンも、過去とリンクしたさまざまなテーマを表示する。ゴルフGTIのラリーの歴史にちなんで、ヘッドアップディスプレイはドライバーとパッセンジャー前方のフロントガラスに情報を映し出す。

標準のID.2と同様、ID.GTIは5名まで乗車可能。ラゲッジスペースは490Lで、リアシートを倒すと最大1330Lに拡大できる。リアシートの下には50Lのロック可能な収納スペースがあり、充電ケーブルなどを収納できる。

VWデザイン責任者のアンドレアス・ミント氏へ独占インタビュー

――ID.GTIコンセプトの制作期間は?

「それほど多くはなく、たった3か月です。しかし、頭の片隅にはGTIのID.2がありました。わたし達はこれをスポーティなハッチバックのデザインとして考えていたので、作るのは簡単でした。ベースの時点ですでにとてもいいものでした」

フォルクスワーゲンID.GTIコンセプト
フォルクスワーゲンID.GTIコンセプト    フォルクスワーゲン

――通常はどれくらいの時間がかかるのでしょうか?

「もっとかかりますよ。インテリアやHMIをすべて作るとなると、非常にコストがかかりますし、時間もかかる。今のところ、内装はアニメーションだけですが、全体像がつかめます。内外装には同じテーマが流れていて、両者をリンクさせています」

――デザインで気に入っている部分は?

「ホイールです。(初代ゴルフGTIの)クラシックなスチールホイールのデザインをアルミでリメイクしたものです。このようなホイール処理は今まで見たことがありません」

――このコンセプトの出発点は?

「GTIはわたし達にとってアイコンであり、EVのアイコンとして作り直そうと考えました。すべてのGTIから最高のデザインの断片を集め、それを使って新しいことをしたのです」

――個人的に好きなGTIは?

「初代ゴルフGTIです。その純粋さは、とても綺麗です。5000台しか計画されなかったGTIが、今では270万台も売れている。(ID.GTIの)全長は4.1mで、初代GTIと近いですね。しかし、室内空間ははるかに広い。エモーショナルで合理的なので、奥さんやご主人にアイデアを売り込むのが簡単なんです!」

――ポロGTIとゴルフGTIのどちらに近いのでしょうか?

「モデルではなく、GTIそのものに焦点を当てました。GTIをアイコンにしたものは何だったのか? その上に何を乗せられるか? ID.2はGTIにとてもよくマッチしています。安定感があり、好感が持て、秘密のソースを持っています。この3つはフォルクスワーゲンを再び『愛されるブランド』にするための要素です。わたし達はそれを親しみやすくフレンドリーなものに仕上げた。過剰に攻撃的でもない。ゴルフGTIでは、きまりの悪さ(恥ずかしさ)を感じることはありません。一部のホットハッチでは、ある状況下できまりの悪さを感じることがあります。これは『わたしの大切な乗り物』であって、ボーイレーサーカーではないんです」

――デザインにおける『安定感』とは?

「力強く見えて、平坦に見えないもの。ビートルは、板金に安定感を与えるためにあのような形をしていました。安定感には大きな意味があり、転んでしまうようには見えません。そのため、丈夫で安定して見えるように、力強いCピラーを採用しています」

――ID時代のGTIにはどのモデルを使うのですか?

「どこにでも使うつもりはありません。一部のセグメントでは、効果的なアプローチが他にあります。ホットハッチはスタート地点です」

――RやGTXについてはどうですか?

「GTIはより現実的な世界で、ホワイトカラーのRよりもブルーカラーです。Rはどちらかというとレコードブレーカー、ニュルブルクリンクのためのクルマ。GTXは特定のセグメントに入るもので、四輪駆動です。これ(ID.GTI)は前輪駆動で、GTIは前輪駆動のためのものになります」

――ID.2 GTIはどのくらいの価格を目指しているのですか?

「今日のところは申し上げられません。ID.2は、2万5000ユーロ(約395万円)で提供したい。この価格でこれほどのものは他にはないでしょう。初代GTIのように、より安く、より親しみやすく、より人々のためのクルマで人々を納得させることができます」

――大きなクルマより小さなクルマを作る方が楽しいですか?

ベントレーでの仕事はとても楽しかったですよ! バトゥールも短期間で完成した素晴らしいプロジェクトでした。あの時は本当に楽しかったけれど、今回もまた楽しかった。ベントレーではブランドについて、そしてブランドとは何かについて多くを学びました。1年で女王陛下のクルマを作り、ル・マンで優勝した。それがベントレーの強さであり、すごいところなんです。わたしはエモーショナルと実用性をミックスさせるような、同じようなことができないかと思い、フォルクスワーゲンに来ました」

記事に関わった人々

  • 執筆

    グレッグ・ケーブル

    Greg Kable

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    平成4年生まれ。テレビゲームで自動車の運転を覚えた名古屋人。ひょんなことから脱サラし、自動車メディアで翻訳記事を書くことに。無鉄砲にも令和5年から【自動車ライター】を名乗る。「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。イチゴとトマトとイクラが大好物。

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