日産車、なぜVRでデザイン メリットは? 「デザインプレゼンテーションホール」新設

公開 : 2023.10.04 11:45

・日産、「デザインプレゼンテーションホール」を新設
・大型で高精細のディスプレイを設置
・時間やコストの削減に繋がる

「デザインプレゼンテーションホール」

2023年10月3日、日産自動車(以下、日産)は、神奈川県厚木市のグローバルデザインセンター内に、リアルとデジタルを融合させることでデザインプロセスの革新を目指す「デザインプレゼンテーションホール」を新設し、メディア向けに公開した。

このホールは以前からニューモデルなどのデザインをプレゼンテーションする場所として使用されていた。今回のリニューアルで、幅が約40mにもわたる湾曲した24Kの高精細LEDスクリーン、フルカラー天井スクリーン、リモート照明技術、7.1ch音響システムなどを設置。世界中でユーザーが実際にクルマを使用するさまざまな環境を高い精度で再現することが可能となった。

日産は、神奈川県厚木市のグローバルデザインセンター内に、リアルとデジタルを融合させることでデザインプロセスの革新を目指す「デザインプレゼンテーションホール」を新設した。
日産は、神奈川県厚木市のグローバルデザインセンター内に、リアルとデジタルを融合させることでデザインプロセスの革新を目指す「デザインプレゼンテーションホール」を新設した。    日産

スクリーンが平面ではなくアーク(湾曲)状になっているのは、画像を歪みにくくするためだという。

日産は本ホールを中心にデザインプロセスのデジタル化をより一層推進し、デザインの質や検討の幅をさらに向上させることで、ユーザーの多様なニーズを満たす商品をよりタイムリーに開発することを目指していくという。

ソニーと共同開発 ゲーミングエンジン

従来、クルマのデザイン開発では、デザインの検証をおこなうために縮小スケールから実寸サイズまで、複数のモデルを製作してきた。

しかし、製作期間の長さとコストの課題が伴うため、製作可能なモデルのバリエーション数は限られる。

投影するコンテンツの製作にはソニーと共同開発したゲーミングエンジンを使う。時間による光の変化、天候や自然の要素もリアルタイムに高い臨場感と没入感で再現することができる。
投影するコンテンツの製作にはソニーと共同開発したゲーミングエンジンを使う。時間による光の変化、天候や自然の要素もリアルタイムに高い臨場感と没入感で再現することができる。    日産

そこで、日産のデザイン部門では5年以上前からVR(バーチャルリアリティ)を活用するなど、デザインプロセスのデジタル化を推進してきた。

つまり、ゴーグルを通して360°の画像を見ながらデザインを検討することで、モデルを製作せずにデザインを決めることができる。

しかも日本だけでなく、アメリカ/イギリス/中国といった海外のデザインセンターとも、オンラインでリアルタイムで協議することもできるようになった。

それをさらに進化させたのが、このホールだ。

投影するコンテンツの製作にはソニーと共同開発したゲーミングエンジンを使う。時間による光の変化、天候や自然の要素もリアルタイムに高い臨場感と没入感で再現することができるのだ。

デジタル上で製作したモデルをさまざまな市場環境に合わせて検証、確認することが可能になる。

デザインを決定するプロセスにおいては、複数のデジタルモデルをフルサイズ(実物大)で24K LEDスクリーン上に並べ、デザインやカラーの微妙な違いを高精度で再現し比較することができる。

また、モデルの位置やアングルをリアルタイムに素早く切り替えることができるため、より迅速な意思決定が可能となる。

記事に関わった人々

  • 執筆

    篠原政明

    Masaaki Shinohara

    1958年生まれ。某自動車雑誌出版社をめでたく? 卒業し、フリーランスのライター&エディターに。この業界に永くいるおかげで、現在は消滅したものを含めて、日本に導入されている全ブランドのクルマに乗ってきた……はず。クルマ以外の乗りものもけっこう好きで、飛行機や鉄道、さらには軍事モノにも興味があるらしい。RJC会員。

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