斬新ドア センチュリー採用 2つのワケ

公開 : 2023.10.05 12:20

スイングドアをセンチュリーに採用した理由

一般的なスライドドアには、前述したようにローラーが用いられている。そしてそのローラーは扉の上下と中間あたりに位置しており、スライドドア装着車のボディサイドにはそのローラーが通るレールが設置されている。

アルファード/ヴェルファイアのように上級ミニバンでは、うまくサイドウインドウとの間にレール部を設けるなどして目立たなくはしているものの、どうしてもボディ外観にレールが存在することは避けられない。

スイングドアを組み合わせるトヨタ・センチュリーGRMN。
スイングドアを組み合わせるトヨタ・センチュリーGRMN。    神村聖

一方センチュリーは通常の生産ラインとは異なる仕上げラインを設定し、「几帳面」と呼ばれる精度の高いキャラクターラインを用いるなど美観にも拘っているため、スライドドアレールをボディ外観に設けるのは言語道断だったというワケだ。

そして上下にもローラーを備えるようにするとなると、その分ドア開口部を狭くするか、ボディ形状を改める必要があるが、これもセンチュリーという車両のキャラクターを考えれば選択肢から当然外れることになるワケで、スイングドアとなったのはある意味必然と言えるだろう。

またいくらセンチュリークラスの車両とはいえ、通常ドアとスイングドアでボディを作り分けるのも非効率であるため、モノコックボディは1種類で2つのドア形状を盛り込むための策ともなっていることは間違いない。

ただ、プレゼンテーション時の動きを見る限り、ショーファーカーに相応しい静かで無駄のない開閉動作をしていた。スイングドアのリンク形状は非常に凝ったものとなっていることは想像に難くなく、実際にこの仕様を追加で注文するときのエクストラコストがどのくらいになるのかは、庶民として気になるところである。

記事に関わった人々

  • 執筆

    小鮒康一

    Koichi Kobuna

    1979年生まれ。幼少のころに再放送されていた「西部警察」によってクルマに目覚めるも、学生時代はクルマと無縁の生活を送る。免許取得後にその想いが再燃し、気づけば旧車からEV、軽自動車まで幅広い車種を所有することに。どちらかというとヘンテコなクルマを愛し、最近では格安車を拾ってきてはそれなりに仕上げることに歓びを見出した、尿酸値高い系男子。
  • 編集

    上野太朗

    Taro Ueno

    1991年生まれ。親が買ってくれた玩具はミニカー、ゲームはレース系、書籍は自動車関連、週末は父のサーキット走行のタイム計測というエリート・コース(?)を歩む。学生時代はボルボ940→アルファ・スパイダー(916)→トヨタ86→アルファ156→マツダ・ロードスター(NC)→VWゴルフGTIにありったけのお金を溶かす。ある日突然、編集長から「遊びにこない?」の電話。現職に至る。

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