新型センチュリー「3つの現代化」をトヨタ執行役員が語る 最高級の“整う”空間づくり

公開 : 2023.09.06 21:50

トヨタ幹部が語る、SUV型「センチュリー」が採り入れた「3つの現代化」。新型の発表会場で、キュレート、静粛性、カスタマイズについてプレゼンテーションがありました。

じつは「SUV」と呼んでいない

トヨタが予告していたSUVボディの「新型センチュリー」が発表され、これからはセダン型とSUV型の2つのセンチュリーを選べるようになった。

じつのところトヨタは、新型をSUVとは表現しておらず、センチュリーを求めるカスタマーのために“選択肢を増やした”というスタンスを取っている。

トヨタが初公開したセンチュリーの新型車。従来のセダン型に比べて全高が300mm高い。
トヨタが初公開したセンチュリーの新型車。従来のセダン型に比べて全高が300mm高い。    神村聖

では現代の顧客は、センチュリーにどんなことを望んでいるのだろう?

同社のデザイン領域を率いるサイモン・ハンフリーズ執行役員(チーフブランディングオフィサー)が、発表会の場で3つの現代化について語っている。

1つ目は、自分を整えるための“スペース”だ。

キュレートするクルマとは?

新たなボディ形状は、「多様なお客様のニーズに端を発している」と切り出したハンフリーズ氏。

「(センチュリーのオーナーである)彼ら彼女らは、仕事に向き合うスペースも必要だが、くつろぐスペースも必要。話を楽しむスペースも必要だが、逃げ出すスペースも必要」

新型センチュリー発表会に登壇したサイモン・ハンフリーズ執行役員(チーフブランディングオフィサー)
新型センチュリー発表会に登壇したサイモン・ハンフリーズ執行役員(チーフブランディングオフィサー)    神村聖

「考えるスペースを求めると同時に、インスピレーションを得るスペースも求めている。プライバシーを重視しながらも、パブリックライフも受け入れる」

「つまりわたし達は、お客様が個人的な体験を、現実的にも感情的にもキュレートできるクルマをご用意する必要があったのです」

ハンフリーズ氏が使った“キュレート”という言葉には、“多くの情報から整理し、再構成する”という意味がある。

シビアな時代を生きるカスタマーのために、自分を整えるための時間・空間づくりが必要だった……。

セダンよりも車高が高く、頭上スペースも広い新型の室内を目にすると、そんなテーマがあるように思えてならない。

まさかのガラスで、3ボックス形状に

2つ目は、「もっとも重要」と表現された後部座席。ポイントは静粛性だ。

「集中力や生産性が必要なとき、決して邪魔にならないように、必要なすべてのものが手元にあること」

新型センチュリーは、3ボックスボディのように、車室と荷室の間に隔壁&ガラスが存在する。
新型センチュリーは、3ボックスボディのように、車室と荷室の間に隔壁&ガラスが存在する。    神村聖

「また生産性を高めるにはインスピレーションや創造性、つまり、考えたりリラックスする時間も必要です」

「最も静粛性の高いクルマとして、センチュリーは完璧な環境を整えました」と語っている。

SUVのように見える新型センチュリーだが、じつは後席と荷室の間を、ボディ骨格入りの隔壁で隔てている。

さらに、後席ヘッドレストの背後にはガラスまで設置され、車室と荷室はセダンのように別の空間になっているのだ。

これにより、どんな速度であってもくつろぐことができるし、大きな声を出さずに会話を楽しめる。

記事に関わった人々

  • 撮影

    神村聖

    Satoshi Kamimura

    1967年生まれ。大阪写真専門学校卒業後、都内のスタジオや個人写真事務所のアシスタントを経て、1994年に独立してフリーランスに。以後、自動車専門誌を中心に活躍中。走るのが大好きで、愛車はトヨタMR2(SW20)/スバル・レヴォーグ2.0GT。趣味はスノーボードと全国のお城を巡る旅をしている。
  • 執筆

    AUTOCAR JAPAN

    Autocar Japan

    世界最古の自動車雑誌「Autocar」(1895年創刊)の日本版。

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