フォルクスワーゲン・ザ・ビートル・カブリオレ

公開 : 2014.08.30 15:55  更新 : 2017.05.29 18:58

ブルブルやワナワナがないかまたは少ないことにおいて、ザ・ビートル・カブリオレは優秀。いかにも最新のワーゲン車。屋根ありバージョンと較べたら車体はハッキリとユルいけれど、これだけ運転しているぶんにはなにも気にならない。むしろ、ビートルのキャラに合っているのはこっちという印象(ただし、ホンモノのビートル=元祖フォルクスワーゲンの車体の剛性感はハンパなく高い)。

また、幌を閉めているときと開けているときとの操縦性というかクルマの動きの違いはかなり小さい。そして、どちらの状態でもデキがいい。たぶんコンマ6Gちょいぐらいまで試したかぎりにおいては、曲がり方面に関してもシャシー性能はちゃんとしている。スポーティというよりはピースフルな走りだけれど(だからイイともいえる)、山道を元気よく走るときの楽しさやヘコタレなさも「あ、こんだけあれば十分」だった。動力性能もふくめて、日本の現実の道路状況とクルマのパフォーマンスのおいしい領域とのマッチングがすごくいい。

山道でそこそこ元気ハツラツのRX-8に迫られても、慌てず騒がず。ブラインドの複合コーナーをスムーズに抜けて、再び視界が開けたときにはちょっと引き離し(くだらないこと書いてスイマセン)。さすが、いまのワーゲン車。1.2TSI、まだヨユー。

そういう感じだったので、「もっと速いエンジンが……」とも思わなかった。これだけチカラがあれば。ちなみにこのクルマ、スペック上、ゴルフ・カブリオレよりも90kg軽い。乗る前はその銘柄に一瞬「ウッ」となったタイヤ(某国産メジャー系)も、フツーに真っ直ぐ走ってくれたのでOK。カドだけは丸めてあるけど実はちょっとキツめの突き上げが……というところはなくはなかったけれど。

というわけでザ・ビートル・カブリオレ、ほとんど不満を覚えるところがなかった。「やはりこちらが本命」でもあった。クルマ観が変わるほどのショックを受けたわけでもなかったけれど、そんなことはナンの減点要因にもならない。じゃあ10点満点中10点かというと……。さて。

(文・森 慶太 写真・花村英典)

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