待望のQ4はPHEVとして日本上陸 アルファ・ロメオ・トナーレの新味を試す

公開 : 2023.11.06 11:45

「充電中に蛇が現れる」という「プラグイン蛇」ことアルファ・ロメオ・トナーレQ4が日本上陸を果たしました。鮮やかなモントリオール・グリーンを纏う車両で、新味PHEVアルファ・ロメオの美点を探ります。

「モントリオール・グリーン」を纏うトナーレQ4

このグリーンのトナーレQ4の実車は、目の前にすると素直に「いい色だなぁ」と、独りごちてしまうところがある。

メタリックのフレークも適度に粗目で名称は「モントリオール・グリーン」と聞いて、70年代のあのちょっとクセ強め、でもエレガントなガンディーニ・デザインのクーペを思い浮かべ「やっぱりな、エヘヘ」と、おっさん的にはホイホイと引き込まれてしまう。

アルファ・ロメオ・トナーレQ4
アルファ・ロメオ・トナーレQ4

独り言というより、色のニュアンスとネーミングだけですでに、そう言わされている訳だ。そこがやはり、アルファ・ロメオという自動車メーカーの、唯一無二のカルチャー資産というか莫大な歴史遺産なのだろう。

実際、先行するトナーレMHEVが日本市場に投入されて以来、アルファ・ロメオからの乗り換え購入顧客はじつに38%を占めるとか。ジュリエッタがもっとも多く、ステルヴィオやジュリアからのダウンサイザーも少なからず。

やっぱりアルファ乗りはアルファを選ぶ……と結論づけるのはしかし、早合点だ。忠誠度の高い顧客も多いが、他の輸入車ブランドからの乗り換えは44%と、連続アルファ乗り換えのコア層をも上回る。

それ以外の国産車からの乗り換えも、18%と一定数に上る。しかも女性顧客に至ってはトナーレ導入以前から2.4倍にまで増えているとか。当然、国産車やドイツ車に比べたら分母が小さいという指摘もありそうだが、量より質で愛されてしまうのがアルファ・ロメオなのだ。

欧州Cセグ相当のコンパクトSUVという、サイズ感も車型もファミリー層を含めハマったとはいえ、電動化時代を睨みつつ自己変革と情熱的パフォーマンスという、アルファ・ロメオの方向性は広く受け入れられているようだ。そのキーとなるのが「次世代スポーティネス」と、それを実現するソリューション、つまりトナーレQ4ではPHEVとしての出来ばえと動的質感がどんなものか? という辺りだ。

外観でMHEV版と、今回のQ4を判別するマーカー要素は、ほとんど無い。強いていえば、リア左フェンダー上に設けられたチャージポートと、MEHV版より意外にも15mm高くなったという1615mmの車高と、あとはバッジの違いぐらい……でもなかった、PHEV版の左リアのクォーターウィンドウ隅には(車内のメーターパネルにも)「エレクトロ・ビショーネ(ビショ―ネは蛇のこと)」が充電中に表れるのだ。

記事に関わった人々

  • 執筆

    南陽一浩

    Kazuhiro Nanyo

    1971年生まれ。慶応義塾大学文学部卒業。ネコ・パブリッシングを経てフリーに。2001年渡仏。ランス・シャンパーニュ・アルデンヌ大学で修士号取得。2005年パリに移る。おもに自動車やファッション/旅や食/美術関連で日仏独の雑誌に寄稿。2台のルノー5と505、エグザンティア等を乗り継ぎ、2014年に帰国。愛車はC5世代のA6。AJAJ会員。
  • 撮影

    神村聖

    Satoshi Kamimura

    1967年生まれ。大阪写真専門学校卒業後、都内のスタジオや個人写真事務所のアシスタントを経て、1994年に独立してフリーランスに。以後、自動車専門誌を中心に活躍中。走るのが大好きで、愛車はトヨタMR2(SW20)/スバル・レヴォーグ2.0GT。趣味はスノーボードと全国のお城を巡る旅をしている。
  • 編集

    AUTOCAR JAPAN

    Autocar Japan

    世界最古の自動車雑誌「Autocar」(1895年創刊)の日本版。

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