新型ポルシェ911 GT3 Rレンシュポルト 制約を取り払ったサーキット専用車 77台限定生産

公開 : 2023.09.29 18:05

・ポルシェ911 GT3 Rをベースとする限定77台の特別仕様車「レンシュポルト」登場。
・車重1240kgに最高出力620psのフラット6。最もパワフルなサーキット専用車。
・フルカーボンボディ、鮮やかなリバリー、デジタルミラーなど専用オプションが満載。

限定77台のサーキット専用車

ポルシェは9月28日、911の新たな限定仕様車として「911 GT3 Rレンシュポルト」を発表した。ポルシェの象徴的なレーシングカー、935の後継車であり、これまでで最も強力なサーキット専用車となっている。英国価格は82万2000ポンド(約1億5000万円)とされる。

ベースはGT3レーサーの911 GT3 Rで、ポルシェは「FIA GT3レギュレーションの制約をすべて取り払った」としている。10月28日に開催される世界最大級のポルシェ愛好家の集いであるレンシュポルト・リユニオン(Rennsport Reunion)で一般公開される予定。生産台数はわずか77台に限定される。

ポルシェ911 GT3 Rレンシュポルト
ポルシェ911 GT3 Rレンシュポルト    ポルシェ

サーキットでの騒音規制に基づき、サイレンサー無しのバージョンと、触媒コンバーター付きの「静か」なバージョンの2種類が用意される。

パワートレインは911 GT3 Rと同じ4.2L 6気筒ボクサーエンジンを搭載するが、さまざまな調整により、最高出力は565psから620psに、レッドラインは9400rpmに、最高速度は296km/hから315km/hに向上している。

リッターあたり150psというエンジン出力は、「GTレーシングカーの自然吸気エンジンとしては記録的」なものだという。トランスミッションは6速シーケンシャルで、後輪駆動となる。車重は1240kg。

エンジンユニットは、バイエタノール燃料とeフューエル(合成燃料)を使用できるように設計されており、可能な限りのカーボンニュートラルを目指している。従来の無鉛ガソリンでも走行できる。

ポルシェのモータースポーツ部門副社長であるトーマス・ローデンバッハ氏は、「新型ポルシェ911 GT3 Rレンシュポルトは、おそらく最も原始的な形で911ベースのレーシングカーを運転する体験を提供します。最高のモータースポーツテクノロジーとポルシェらしいデザイン言語を融合させており、見るたびに鳥肌が立ちます」とコメントしている。

デジタルミラー、リバリーなど特別設定

内外装はデザイナーのグラント・ラーソン氏とトルステン・クライン氏が担当し、ボンネットとルーフのみをベース車両と共有しているという。ホイールベースは延長され、フェンダーも広げられ、ローダウンスプリングと18インチのBBS製ホイールが装着されている。

ボディはすべてカーボンファイバー製で、サーキット走行を想定し、フロントフェンダーには空力に最適化されたフィンと大型エアインテークが設けられた。サイドミラーも廃止され、3台のカメラによるデジタルミラーとなった。

ポルシェ911 GT3 Rレンシュポルト
ポルシェ911 GT3 Rレンシュポルト    ポルシェ

リアでは、ポルシェの歴代レーサーと共通するデザイン要素が見られる。例えば、リアウイングはデイトナで7度の優勝を誇るブルモス・ポルシェ935/77の影響を受けており、スポイラーサポートはポルシェ962ル・マンにインスパイアされたという。軽量化のため、グリルカバーや一部のパネルは外され、エグゾーストなどの部品はむき出しとなっている。

キャビンではさらなる軽量化が図られ、助手席と後部座席、エアコンが取り除かれた。また、モデルナンバーを顧客の好みで選択できるプレート、サイドミラーに代わる2枚のモニター、カラー調整可能なアンビエントライト、FIA仕様のロールケージも装備される。

ボディカラーは、スタールビー、シグナルオレンジ、アゲートグレーメタリック(911シリーズの新色)を含む7色から選択可能。

そのうち3色はリバリーが施される。ラグナセカを象徴するコークスクリューからインスパイアされたというレンシュポルト・リユニオン・デザイン、ポルシェ・モータースポーツの拠点である町の名を冠したフラハト・デザイン、そして車幅を強調するブルーを取り入れたスピード・アイコン・デザインが用意されている。

サスペンションはフロントがダブルウィッシュボーン、リアがマルチリンク式で、ショックアブソーバーは5ウェイ調整式。ただし、基本的なセットアップはオーダーメイドで、レース前に自分で調整することも可能だ。

その他、ミシュランがウォームアップ時間とドライバビリティを向上させるために開発した専用タイヤもある。

記事に関わった人々

  • 執筆

    ジョナサン・ブライス

    Jonathan Bryce

    英国編集部。英グラスゴー大学を卒業後、モータージャーナリストを志しロンドンに移住。2022年からAUTOCARでニュース記事を担当する傍ら、SEO対策やSNSなど幅広い経験を積んでいる。
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

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