トヨタ・オーリスRS

公開 : 2012.11.18 18:36

新型オーリスはエンジンに応じてリヤサス形式を使い分ける。具体的には1.5ℓがトーションビーム、1.8ℓがダブルウィッシュボーンとなる。オーリスの主市場である欧州でもこのリヤサス使い分けは踏襲されるそうで、欧州では1.6ℓガソリンと2.0ℓターボディーゼル、そしてハイブリッドがダブルウィッシュボーン、1.3ℓガソリンと1.4ℓターボディーゼルがトーションビームになるのだという。

商品企画ではゴルフ、操安性ではフォーカスをベンチマークにしたという基本性能は低くなく、どのモデルもそれなりに走るが、一頭地ぬけているのはやはりRSだ。RSは唯一のハイオク仕様エンジンとM/Tが与えられる。サスペンション(リヤはもちろんダブルウィッシュボーン)も専用チューンでバネとショックを引き締めたうえに、リバウンドスプリングが追加される。

もっとも、“RS”というネーミングにルノースポールや歴代ポルシェRSを想像すると、見事なまでに肩すかしを食らう。その種のものをお望みならばオススメしない。ハイオク仕様といってもエンジンはまったく実務的な性格だし、乗り心地は新型オーリス全体のなかで最も快適だ。

ただ、RSというネーミングの是非をひとまず横に置けば、オーリスRSのシャシー性能はちょっとしたものだ。この種のクルマではロール量は小さくないが、とにかくアシがよく動いて、接地感(とくにリヤ)が濃厚。内足がしなやかにベッタリ吸いつくフィーリングは、いい意味で往年のフランス車的でもあり、フロントのリニアリティも高く、キッカケを与えればヨーコントロールも自在。「この感じは最近どこかで……」と思ったら、操縦感覚はゴルフVIというよりプジョー308に似る。考えてみれば、こういうフツーのCセグメントのM/T車は貴重。オーリスRSは“RS”という名には似つかわしくないかもしれないが、マニア心をくすぐる存在になりえる。

ちなみにオーリスRSは16インチタイヤが標準だが、サスチューンの開発はオプション17インチが中心だったそうで、今回は17インチしか乗れなかったが、たしかにその気配は濃厚。オーリスRSを本気で考えている人は参考までに。

結論
フツーに乗れるCセグをM/Tで乗れるのは、現在の日本ではオーリスRSとプジョー308プレミアムだけ……という貴重な存在。RSは先代から受け継ぐグレード名だが、「本来の性格とズレている」と賛否両論あったとか。

(文・佐野弘宗 写真・神村聖)

トヨタ・オーリスRS

価格225.0万円
0-100km/hna
最高速度na
燃費(JC08モー ド)14.4km/ℓ
CO2排出量161g
車両重量1460kg
エンジン形式直4DOHC、1797cc
エンジン配置フロント横置き
駆動方式前輪駆動
最高出力144ps/6200rpm
最大トルク18.4kg-m/3800rpm
馬力荷重比98.6ps/t
比出力80.1ps/ℓ
圧縮比10.6
変速機6段M/T
全長4275mm
全幅1760mm
全高1460mm
ホイールベース2600mm
乗車定員5名
燃料タンク容量50ℓ
荷室容量360〜1200ℓ
サスペンション(前)ストラット
(後) ダブルウィッシュボーン
ブレーキ(前)Vディスク
(後) ディスク
標準タイヤサイズ205/55R16

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