社会人1年目、ポルシェを買う。

2017.06.25

こんばんは。「社会人1年目、ポルシェを買う。」の上野太朗です。5月のなかばから、終わりにかけて、わりに困ったことがありました。「車検」です。2本の救いの電話。女子高生に借金。なかなか落ちつかぬクルマ人生です。

第51話:ぼくのポルシェ996、車検をどう通そうか。

今回はじめての2ページ構成です。ページ下の「next page」を押して、つぎのページへ進んでください。

 
車検の期限は月末に迫っている。

どうしようかと考えているつもりで
実際は目をそらしてきたことを今になって悔やむ。

「どうしようか」というのは、
バジェットをどう振り分けようかという意味合いの
「どうしようか」ではない。当然。

資金不足を理由に車検を切ってしまうのか、
あるいは、もろもろを諦めてしまうおうか。

このコラムはどうなるのだろう。
読者の皆さんにどう説明しよう。
編集長は、なんというのだろう。

「車検を通すお金がありません
 したがってシャカイチに乗れなくなります」

そういった意味合いにおける「どうしようか」だった。

ため息をついているうちに20日になった。
車検は28日に切れる。
給料日は31日。
残高6000円。

2件の結婚式があり、
喜ばしいことだったけれど
反面、財布は枯渇していた。

1日300円で乗り切ったとしても残高3700円。
せいぜい印紙代くらいしか払えない。

ろくにお金が残らないくせに、
よくポルシェなんて買ったよなぁ。
自分を責める。

オフィスの前を走る罪なきポルシェオーナーが
心から羨ましい気もちになる。
ほとんどあきらめモードだった。
 
 
 
 
その日、ふたつの電話があった。

ひとつ目の電話は、
何かと理由をつけて週末にお邪魔し、
空冷ポルシェの整備を見せていただいている
「シンリュウ」の箭内(やない)さんからだった。

996GT3に乗るシンリュウのお客さんが
ヘッドライトを換えたいらしく、
正規輸入車であるシャカイチ号のそれが
「どんな形状かを調べるために
 シャカイチ号をしばらく貸してください」
というお願いだった。

シャカイチ号を1週間貸し出すことになった。
 
 
 
ふたつめの電話は山中さんからだった。
第14話で協力していただいた山中さん。
ぼくの保険担当のお兄さんだ。

「上野さん、事故の保険が決まりました
 タクシー会社が頑なに交渉に応じませんでしたから
 『思いどおりの結果』とはいきませんでしたが、
 わずかながらお金が戻ってくると思います
 そうですねぇ、6万円くらいかですかね。
 詳しくは追ってお知らせします」

仕事終わり「シンリュウ」にシャカイチ号を
貸出にうかがった。
それからあっという間に1週間が経った。

5月27日、「シンリュウ」にシャカイチ号を取りにいった。
1週間ぶりのシャカイチ号の対面だったけれど、
肩にズンとのしかかる「車検」の2文字のせいで
とくに嬉しい気持ちにもならなかった。
むしろ煩わしい気持ちになった。自分のせいなのに。

あと1日。ほとんど車検は諦めていた。

ひとつ、不思議なことが起こった。

記事に関わった人々

  • 上野太朗

    Taro Ueno

    1991年生まれ。親が買ってくれた玩具はミニカー、ゲームはレース系、書籍は自動車関連、週末は父のサーキット走行のタイム計測というエリート・コース(?)を歩む。学生時代はボルボ940→アルファ・スパイダー(916)→トヨタ86→アルファ156→マツダ・ロードスター(NC)→VWゴルフGTIにありったけのお金を溶かす。ある日突然、編集長から「遊びにこない?」の電話。現職に至る。
 
 

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