コラム&エッセイ

2018.02.04

社会人1年目、ポルシェを買う。

第58話:あなたのポルシェに乗せてください!(997 MT編)

感じたポルシェ996と997の違い

おじの家の車庫の扉をあけると、
997がバッテリーチャージャーに繋がれて停まっていた。
うしろから見てリアフェンダーが大きいことに気づいた。
996とくらべると明らかにフェンダーが張りだしている。
ドアノブに手をかける。ちょっと下にあることも発見だ。

シートに座ると、クッションがいくぶん硬いと思った。
996はもう少し沈む。背もたれの面積が小さいながらも
不思議なくらい体にぴたっとフィットする点はおなじだ。

エンジンをかけるためにクラッチペダルを踏んでみると、
グワンと奥に沈み込んでいく。なんというかバネっぽい。
996は踏んだら踏んだだけ奥に沈み、逆もまたおなじだ。
たいする997は踏みはじめと中盤で、おなじ踏力でも
ペダルの動きに加速度(みたいなもの)がともなう。
これがじつに「あたらしいもの」っぽさを感じさせる。

あともうひとつ、ドリンクホルダーが僕はとりわけ好きだ。
グローブボックスの上の細長いふたをあけてボタンを押す。
すると、シャキーンとドリンクホルダーが、せりでてくる。

それだけならば誰だって思いつきそうだけれど、
ホルダーがでてきたあと、内部構造が見えないように
細長いふたを閉じて、ダッシュボードのうえはフラットに。

まあそんなディテールを熱く語っていても仕方ないから、
エンジンをかけることにしよう。キーをひねる。

「ヴァオーん、じゃらじゃらじゃらじゃら」

音が大きい! と思った。後期のほうが静かだと記憶する。
チョクフンとの違いだろうか。ガレージからだしてみよう。

「バネ感」に新しいと思った

なんの違和感も感じさせずに、997は前に進む。
こういうところもポルシェのいいところだと思う。

窓をあけると、ジャーンといった音がわりに聞こえる。
窓をとじると、ヒューンといった笛みたいな音が響く。
そう、響く。室内に反響する。
そしてこの音はまぎれもなく空冷の音と共通項がある。

空冷ユニットをモチーフにしたことは
シロウト目からみても明らかなことだ。

ギアはある一定の反力を感じさせたあとに、
スコンとべつのゲートに入る。
930 SCがぎっこんばったんとレバーを倒すとしたら
996もどちらかというとその類。997はツルンと入る。
やっぱりこれもバネっぽい。
あたらしいものっぽさ、その2。

驚いたのは、びっくりするほど乗り心地が硬いところ。
交換したてのタイヤの性質もあるのだろうけれど、
路面の継ぎ目がちょっと嫌になってしまった。
「硬いけど、不快ではない」というフレーズをよくみる。
そんな便利な常套句が通用しないものだなぁ、と思った。

峠道から高速道路へと向かう。

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AUTOCAR JAPAN 編集部 上野太朗

1991年生まれ。親が買ってくれた玩具はミニカー、ゲームはレース系、書籍は自動車関連、週末は父のサーキット走行のタイム計測という、いわばエリート・コース(?)を歩む。学生時代はフィアット・バルケッタ→ボルボ940エステート→アルファ・ロメオ・スパイダー(916)→トヨタ86→アルファ・ロメオ156(V6)→マツダ・ロードスター(NC)→VWゴルフGTIにありったけのお金を溶かした。ある日突然、編集長から「遊びにこない?」の電話。現職に至る。
 
 
 

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