社会人1年目、ポルシェを買う。

2020.03.07

【社会人1年目、ポルシェを買う。】第106話:氷のうえで「運転のきほん」を学んだ日のこと。

教習車はBMW 3シリーズ


今回の教習車は、拓生さんがふだんの移動のために使っているBMW 3シリーズ・コンパクト(318ti)だ。

シャカヨン号(1979年式911 SC)にスタッドレスタイヤを履かせていくつもりだったのだけど、拓生さんいわく「練習にならないから僕のクルマを使いなよ」ということで、お言葉に甘えさせてもらうことにした。

その理由はすぐにわかった。

そもそもなぜ氷上で(八千穂レイクは文字通り湖で、冬はそれが凍る)クルマを走らせるのか。

舗装路のドライ路面がμ(摩擦係数)=0.8前後であるのに対し、氷結路は0.2〜0.1とされるという。

このおかげでドライ路面よりもクルマの挙動はピーキーになる。よって、ふだんよりも繊細にクルマの動きがわかり、適切な対応が必要になる。

氷上のほうがクルマに負担が小さいと考えることもできる(=やれにくい)。

「ぶつけてバンパーが外れてもいいから、きょうは思いっきり走ること。補修用のガムテープも持ってきているからね」と拓生さんは真顔でいう。

思いっきり……。

走れるはずがなかった。

怖さはもちろんのことだけれど、鏡のような氷のうえではとにかくタイヤがグリップしないのである。

記事に関わった人々

  • 上野太朗

    Taro Ueno

    1991年生まれ。親が買ってくれた玩具はミニカー、ゲームはレース系、書籍は自動車関連、週末は父のサーキット走行のタイム計測というエリート・コース(?)を歩む。学生時代はボルボ940→アルファ・スパイダー(916)→トヨタ86→アルファ156→マツダ・ロードスター(NC)→VWゴルフGTIにありったけのお金を溶かす。ある日突然、編集長から「遊びにこない?」の電話。現職に至る。
 
 

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