クルマ漬けの毎日から

2026.03.02

クロプリー編集長のコラムは、英国の週刊自動車誌『AUTOCAR』の1992年2月26日号に初掲載されて以来、毎週書き続けられ、34周年を迎えました。なぜコラムを書くのが好きなのか、今回はその理由をお伝えします(日本版では、英国版コラムの一部を2005年10月からお届けしています)。

英国版で34周年! なぜ私はコラムを書くことが好きなのか?【クロプリー編集長コラム】

もくじ

少年時代に経験した「つながり」
ポッドキャストで コラムを語る
日常的なカーライフ コラムで伝える

少年時代に経験した「つながり」

なぜ私はこのコラムを書くことが好きなのか? その理由はすでにはっきりしていると思う。

それは、コラムを書くことがとても楽しいから。34年前の1992年2月26日以来、私は毎週コラムを書いてきた。編集部から何か言われない限り、もうしばらく書き続けたいと思っている。34年の間に、コラムを書くことは私の習慣となり、また喜びともなっている。

それに考えてみると、世界最古の自動車誌に自分のことをあれこれ書けるのは、お金では買えない名誉なことではないだろうか。

34年前、AUTOCAR誌(1992年2月26日号)に掲載された初回コラム。

その魅力は何か? 何よりもまず、コラムが持つ「読者とつながる力」だと私は思う。

いま、私がこの仕事をしているのは、1960年代にオーストラリアの人里離れた奥地で子供時代を過ごした時に、ビル・タッキーという名の素晴らしい自動車コラムニストとの「つながり」を感じたからといっても、決して大袈裟ではない。

彼の親しみやすいコラムは、まるで優しいおじさんが、私に向けて直接書いてくれているかのように、当時まだ少年だった私は感じていた。60年経過した現在でも、彼の書いた印象的なフレーズのいくつかを口に出して言うことができる。それにそのいくつかをちゃっかり拝借したこともある。

ビル・タッキーの文章に出会っていなかったら、私の学校での成績はもう少し良かったかもしれない。

授業中、私は机の下で、彼が書いた特集記事やコラムを熱心に読んでいたのだ。何か執筆の競技会があったとしたら、ビル・タッキーは素晴らしい原稿を書いて、シェイクスピアよりも10馬身は先を走り、ゴールするにちがいないと、当時の私は思っていた。

のちに、ビル・タッキーと個人的に知り合いになり、子供時代のこの話を彼に直接話すことができた。彼は数回「冗談だろ?」と言っていたが、じつは喜んでくれていたと思う。

ポッドキャストで コラムを語る

同僚のマット・プライヤーもコラムを書いているが、私と同じように感じているようだ。

プライヤーと私はこの3年ほどポッドキャストで “My Week In Cars”を毎週配信しており、コラムに書いたことも話題にしている。

私たちの会話がスムーズに進むのは、コラムのおかげだと思う。1つのアイディア、あるいはアイディアの断片をいくつか持ち寄り、マイクの前に座って、収録をスタートする。その話がどう展開して、どこへたどりつくのか、私たち自身もわかっていないまま、会話を楽しんでいることがよくある。

同僚のマット・プライヤー(左)とともに、数年前にポッドキャストをスタート。コラムに書いたことをポッドキャストで語り合う。2023年末にはジャーナリストでTVプレゼンターのリチャード・ハモンド氏(中央)を訪問して収録。

とはいえ、掲載できる内容のコラムを30分から90分で書き上げなければならないと思うと、面倒な仕事のように感じる時もある。だが、取り組み始めるとすぐに、コラムを書く楽しさのほうが勝ってくる。

その証拠にマット・プライヤーも私も、たとえ休暇中であろうとも、毎週休まずコラムを書いている。その理由の1つには、だれかが代わりに書いて、もっと上手く書いてしまうのではないかと、心配する気持ちがあるからだ。だが、休まずコラムを書き続ける最大の理由は、私たちがコラムを書くのが大好きだから。

記事に関わった人々

  • 執筆

    スティーブ・クロプリー

    Steve Cropley

    役職:編集長
    50年にわたりクルマのテストと執筆に携わり、その半分以上の期間を、1895年創刊の世界最古の自動車専門誌AUTOCARの編集長として過ごしてきた。豪州でジャーナリストとしてのキャリアをスタートさせ、英国に移住してからもさまざまな媒体で活動。自身で創刊した自動車雑誌が出版社の目にとまり、AUTOCARと合流することに。コベントリー大学の客員教授や英国自動車博物館の理事も務める。クルマと自動車業界を愛してやまない。
  • 翻訳

    小島薫

    Kaoru Kojima

    ドイツ自動車メーカーの日本法人に在籍し、オーナーズマニュアルの制作を担当。その後フリーランスで翻訳をはじめる。クルマはハッチバックを10台以上乗り継ぎ、現在はクーペを楽しんでいる。趣味はピアノ。
 
 

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