【飯田章と吉田拓生が吟味】MC20チェロとグランカブリオ 2台のオープン・マセラティから仰ぎ見るブランドの今

公開 : 2025.06.02 11:05

MC20チェロ、プロも認めた素性の良さ

今回MC20チェロの試乗に際して興味深いゲストを招いた。レーシングドライバーの飯田章さんである。レーシングドライバーとして数々の実績を誇り、ニュルブルクリンクで実車の開発シーンにも触れてきたプロの眼に、MC20チェロはどう映るのだろうか?

「全然違いますね。シフトがずいぶんと滑らかで、乗り心地も良くなっています」

それが以前、デビューした頃のMC20に試乗したことがあるという飯田さんの第一声だった。

シフトやダンピングといったコンピューター制御のプログラムは、矢継ぎ早に刷新されることが当たり前となっている。そして、体感性能が上がるからこそ見えてくる真価もある。

「やっぱりこのカーボンモノコックはいいですね。重心が絶妙です。クルマは、シャシーのレイアウトと重心の位置で素性が決まってしまう。パワーは有り余るほどありますが、これだけ素性のいいシャシーがあれば、自信を持ってドライブを楽しめますね」と飯田さん。

MC20チェロでシャシーの核となっているのは、F1マシンと同じくカーボンプリプレグを焼成した本物のドライカーボン。億超えのモデルにしか採用されないような本格的なものだ。そこに最高出力640ps、ターボの圧も勇ましいネットゥーノが加勢する。

「ドライブモードによる走りの変化も的確ですが、標準の『GTモード』が一番気に入りました。何しろバランスがいいですね」

サーキットが似合うスーパースポーツでも、快適なロングドライブを視野に入れたマセラティの血筋は隠せない。その素性の良さは、すぐにプロのレーシングドライバーをも虜にしてしまったのである。

マセラティ×AUTOCAR JAPAN モータージャーナリスト同乗試乗会

記事に関わった人々

  • 執筆

    吉田拓生

    Takuo Yoshida

    1972年生まれ。編集部員を経てモータリングライターとして独立。新旧あらゆるクルマの評価が得意。MGBとMGミジェット(レーシング)が趣味車。フィアット・パンダ4x4/メルセデスBクラスがアシグルマ。森に棲み、畑を耕し蜜蜂の世話をし、薪を割るカントリーライフの実践者でもあるため、農道のポルシェ(スバル・サンバー・トラック)を溺愛。
  • 語り手

    飯田章

    Akira Iida

    1969年生まれ。1989年の大学在学中にモータージャーナリストであった姉・飯田裕子の代役として、富士フレッシュマンレースにレースデビュー。初戦で3位入賞しキャリアがスタート。1994~1996年にはル・マン24時間レース参戦、1995年にはGT2クラス優勝を果たす。2008~2011年にはレクサスLFAの開発ドライバーも務めるなど活躍。2012年にスーパーGTの監督に就任。2024年からはGT300クラスのLMコルサ監督を務める。
  • 撮影

    佐藤亮太

    Ryota Sato

    1980年生まれ。出版社・制作会社で編集経験を積んだのち、クルマ撮影の楽しさに魅了され独学で撮影技術を習得。2015年に独立し、ロケやスタジオ、レース等ジャンルを問わない撮影を信条とする。現在はスーパーカーブランドをはじめとする自動車メーカーのオフィシャル撮影や、広告・web・雑誌の表紙を飾る写真など、様々な媒体向けに撮影。ライフワークとしてハッセルブラッドを使い、生涯のテーマとしてクラシックカーを撮影し続けている。佐藤亮太公式HPhttps://photoroom-sakkas.jp/ 日本写真家協会(JPS)会員
  • 撮影

    神村聖

    Satoshi Kamimura

    1967年生まれ。大阪写真専門学校卒業後、都内のスタジオや個人写真事務所のアシスタントを経て、1994年に独立してフリーランスに。以後、自動車専門誌を中心に活躍中。走るのが大好きで、愛車はトヨタMR2(SW20)/スバル・レヴォーグ2.0GT。趣味はスノーボードと全国のお城を巡る旅をしている。

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