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メルセデス・ベンツSLRマクラーレン スーパーカーを夢見たグランドツアラー 前編

2019.09.29

100字サマリー

ミレニアム時代にメルセデス・ベンツとマクラーレンとのコラボレーションによって生まれた、メルセデス・ベンツSLRマクラーレン。現役時代は賛否両論あったクルマですが、誕生から16年がたった今、その孤高のアイデンティティを振り返ります。

もくじ

カニエ・ウェストとパリス・ヒルトンも所有
量産化の責務を受けたのはマクラーレン社
エンジンの位置を見直し前後バランスを改善
635psのV8が生む最高速度は333km/h

カニエ・ウェストとパリス・ヒルトンも所有

translation:Kenji Nakajima(中嶋健治)

フェルナンド・アロンソとカニエ・ウェスト、パリス・ヒルトンに共通するところは、ビリオネアということ以外、何があるかおわかりだろうか。おそらく、という前置詞付きながら、3名ともにメルセデス・ベンツSLRマクラーレンを所有していたことがあるのだ。F1のチャンピオンや世界的なラッパー、ホテル王のテレビスターを魅了したクルマでもあり、賛否両論を呼んだクルマでもある。

発表当時は、技術的に最も洗練されたスーパーカーとしての評価を得ることはできず、エンジニアが自負するところは安全性だったようなクルマ。なぜ評価の分かれたSLRマクラーレンが誕生したのだろうか。それは、1999年のデトロイト・モーターショーで発表された、ビジョンSLRコンセプトから始まった。

メルセデス・ベンツSLRマクラーレン
メルセデス・ベンツSLRマクラーレン

とにかくメルセデス・ベンツにとっては「明日のシルバーアロー」として主な目的は果たせたはず。ミレニアムを迎えるに向けた新しいデザイン言語を具現化し、R129型SLの後継モデルとして2001年に登場したR230型SLのイメージリーダー的な役目を果たした。加えて新技術の実証実験でもあり、新しいメルセデス・ベンツ製スーパーカー、SLRの礎を築くことにも成功したといえる。

ビジョンSLRを生み出すにあたり、メルセデス・ベンツのデザイナーは温故知新といえる表現を模索した。スターリング・モスがドライブし、1950年代を通じて大きな成功を収めた、メルセデス・ベンツ300SLRだ。F1マシン、W196のエンジンを流用し、当時最先端の技術が盛り込まれた名車としてご存知の読者も多いだろう。

 
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