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ルノー・スマートアイランド構想 ポルトガル現地ルポ 真のゼロエミッションへ

2019.07.07

100字サマリー

ルノーはいま、ポルトガルの沖合に浮かぶ小さな島で、スマートアイランド構想を進めています。電力グリッドへの電力供給が可能なEVと、廃車になったEVから取り外したバッテリーを使って、電力供給の安定化を目指すこの計画は、真のゼロエミッションへの重要な一歩です。

もくじ

ポルト・サント島 「生きた実験室」
目標は脱化石燃料 カギはEV
二重の利点 制御は複雑
小さな一歩 大きな意味
番外編:ビークル・トゥ・グリッドの未来

ポルト・サント島 「生きた実験室」

自動車と環境。まさに現代社会における大きな問題のひとつであり、例え地球温暖化への影響が想像より多少は少ないとしても、こうした認識はもはや常識と言っていいだろう。

だが、自動車そのものがこうした問題に対する解決策になったことはない。それは、燃料がガソリン、ディーゼル、天然ガス、さらには例え水素だとしても、必ず走行に必要なエネルギーは、どこからか調達する必要があり、そのほとんどがCO2を排出するからだ。

そして、自動車や自動車を含むシステムを利用する限り、その量は増え続けることになる。これが現実であり、自動車登場以来、約120年にわたって続いてきた常識だった。

だが、EVにはこうした状況を変えるだけの可能性が秘められており、ルノーはまさにいま、その可能性を、マデイラ島から50kmほどの距離にある小さな島で実証しようとしているのだ。

EVは走行中にCO2を排出することはなく、使用する電力が再生可能エネルギー由来であれば、「ウェル・トゥ・ウィール」の考え方においても、ゼロエミッションな存在になれる可能性があり、さらには、不安定な再生可能エネルギーのより効率的に利用を助けることもできるのだ。


ルノーとその先進的なパートナーたちが、「生きた実験室」と呼ぶポルト・サント島では、いまその数を増やしつつある電動のゾエとカングーのバッテリーを使って、島の多様な発電システムにおける電力需給の変動を抑える取り組みを進めている。

マデイラ島とは切り離されたこの島の電力グリッドでは、ディーゼル発電機と太陽光、そして風力発電によって、家庭と企業向けに電力を供給するだけでなく、海水淡水化設備の運転も行っており(この島の人口に対して、自然の井戸だけでは不十分であり、それは特に観光の繁忙期には顕著となる)、さらに、ルノー以外も含めたEV用に設置された40台の充電ステーションも、このグリッドに繋がっている。

電力需要が急激に増え、再生可能エネルギーが突然利用できなくなった場合に、大量の追加電力を供給しようというのがルノーとパートナーたちの考えていることであり、こうした状況は、雲が日光を遮ることで、太陽光パネルの発電量が低下すれば、いつでも起こり得るのだ。

さらに、太陽光程突然ではないものの、風が弱まったり、現状は単独で稼働しているタービンが稼働を止めても発電量は減少するが、どちらの場合も、ルノーのEVがグリッドに繋がれていれば、そこから逆潮流によって電力を供給することができる。

 
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