4. フォード・フォーカスST

フォードは過去数十年にわたり、実力も販売力も素晴らしいハッチバックを何台も世に送り出してきた。現行のフォーカスSTは、上記のヤリスやシビックほど鋭敏ではないが、フォードの伝統を何よりも尊重している。価格もシビックより手頃だ。

STは通常、やや下位に位置するグレードだが、現行世代のフォーカスにはRSの計画がないため、その分チューンナップに余念がない。歴代フォーカスSTとして初めてアダプティブ・ダンパーと、フロントアクスルに電子制御リミテッド・スリップ・ディファレンシャルを採用している。後者は、この価格帯のクルマではまだかなり珍しいものであり、ハンドリングの魅力を確実に高めている。

4. フォード・フォーカスST
4. フォード・フォーカスST

さらに走りに特化したハードコアなものをお望みなら、フォーカスSTトラック・パックがある。特別な手動調整式コイルオーバー・サスペンション、大型ブレーキ、ピレリPゼロ・コルサ・タイヤを履いた軽量アルミホイールがついてくる。追加オプションで3000ポンド(約55万円)と決して安くはないが、ボディコントロールとハンドリングの鋭さをさらに一段引き上げるものだ。

フォーカスSTは、ダイレクトでシャープなハンドリング、しっかりとしたボディコントロール、そして豊かなサウンドと動力性能を持つパフォーマンスカーとしてのキャラクターを備えている。平凡な道のりも楽しくしてくれるようなホットハッチであり、過去のいくつかの名車には劣るものの、一定の成功を収めている。

おそらく、これがSTモデルにとって適切なバランスなのだろう。サーキットで大活躍するようなマシンというよりは、身近なロードパフォーマンスカーとして日常を謳歌するクルマだ。現時点での究極のホットハッチとするにはまだ不十分だが、非常に強力な候補であることに変わりはない。

誘惑に駆られたら、今すぐ並行輸入車の注文を。小型のフィエスタと同じく、フォーカスも2025年に廃止される予定だ。

5. メルセデスAMG A 45 S

メルセデスAMG A 45 Sは、6万ポンド(約1130万円)以上する四輪駆動のホットハッチバックで、最高出力421psと最大トルク51.0kg-mを発生する2.0L 4気筒を搭載している。地球上で最もパワフルな量産4気筒エンジンであり、排気量あたりの出力はフェラーリ488ピスタの3.9L V8を上回る。ある意味、まったく馬鹿げている。

ウィング、フィン、フェンダーを備えた驚異的なドライバーズカーであり、加速性能は言うまでもなく絶大だが、それ以上に驚きなのは、ロングツーリングにおける「礼節」をわきまえていることだ。スピードに乗ったときのボディコントロールは揺るぎないが、快適性も高い。一方でグリップは傑出しており、電動アシスト付きステアリングラックの精度、重み付け、質感のフィードバックは、クラス最高と言っても過言ではない。

5. メルセデスAMG A 45 S
5. メルセデスAMG A 45 S

多才なホットハッチとして、A 45 Sは間違いなく優勝である。しかし、現在の価格設定ではチャンピオンに輝くのは少々難しい。それでも、なんと素晴らしいマシンなのだろう。もし、A 45 Sが高嶺の花だというなら、弟分のA 35ではなく、フォルクスワーゲン・ゴルフRをお勧めしたい。A 35は見た目こそ似ているが、印象は大きく異なる。

記事に関わった人々

  • 執筆

    ジェームス・ディスデイル

    James Disdale

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    平成4年生まれ。テレビゲームで自動車の運転を覚えた名古屋人。ひょんなことから脱サラし、自動車メディアで翻訳記事を書くことに。無鉄砲にも令和5年から【自動車ライター】を名乗る。「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。イチゴとトマトとイクラが大好物。

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