6. フォルクスワーゲン・ゴルフR

高く評価されてきたスーパーゴルフ、四輪駆動のゴルフRは、最新型で大きな一歩を踏み出した。V6エンジンを搭載したR32がアルファ・ロメオ147 GTAと並び、新車で買えるホットハッチの頂点に立った20年前とは異なり、最新型はやや獰猛さを抑えられている。それでも、最高出力320psの2.0Lターボは十分に頼もしい。

武器は他にもある。アダプティブ・ダンパーが装備され、車載スクリーンに触れるだけで一般道をアイロンがけするようなモードと歯を食いしばるようなモードを切り替えることができる。一方、完全トルクベクタリング式の四輪駆動システムは、前後だけでなく、リアアクスルの左右で駆動力を調整することもできる。

6. フォルクスワーゲン・ゴルフR
6. フォルクスワーゲン・ゴルフR

追加オプションのRパフォーマンス・パックを選択すれば、ドリフトモードやスピードリミッターの上限を270km/hまで引き上げることもできる(ただし、ちょっとしたギミック程度のものなので、本誌は気にしない)。

現行のゴルフRは先代とはまったく異なる性格を帯びている。先代で人気を博した、しなやかさ、安定性、速さのギリギリのバランスは失われ、ボディコントロールとグリップがさらに向上し、安心感を優先している。

先代の「どんな旅にも速いクルマ」という魅力が好きだった人にとっては、現行型はちょっと真面目すぎて、低速域では飄々としているように感じられるかもしれない。しかし、動力性能が大幅に向上したことは否定できない。リアデフは驚異的な俊敏性をもたらし、ソフトなモード設定では驚くほど乗り心地が良い。

第8世代のゴルフ全般に言えることだが、タッチスクリーンを多用したコントロール・インターフェイスには慣れが必要で、反応が鈍いことがある。改良新型ではその点が解決されるようなので、今後に期待したい。

7. フォルクスワーゲン・ゴルフGTI

手の届きやすい価格で最高のパフォーマンスを発揮するゴルフGTIは、フォルクスワーゲンの長寿モデルであるゴルフの中で重要な役割を担ってきたが、最新型は少し違う。より優れたハンドリングレスポンスを追求したが、それに成功したかどうかは疑わしいものだ。GTIが長い間トレードマークとしてきた、乗りやすいさ、使いやすさに悪影響を及ぼし、好ましくない硬い乗り心地になってしまった。

最高出力245psの2.0L 4気筒エンジンは、ここに並んだ他のクルマに比べるとややパワー不足で、少し騒がしく感じることもあるが、力強く手応えのある推進力を生み出し、シャシーがそれをしっかり路面に伝えてくれる。

7. フォルクスワーゲン・ゴルフGTI
7. フォルクスワーゲン・ゴルフGTI

新しい硬めのスプリングは、やはり滑らかな路面に適しているが、アダプティブ・ダンパーによって乗り心地をある程度調整することができる。ステアリングは新たにレスポンスの良いものになったが、まだまだ軽めで感触に乏しい。

GTIクラブスポーツでは最高出力300ps、最大トルク40.8kg-mに上昇し、サスペンションも強化される。日常での快適性を大きく損なうことなく、より優れたグリップとダイレクトで鋭いハンドリングを持つクルマになったが、それでもこの中では最もドライバーを夢中にさせるクルマではない。

重要なのは、GTIはどんな道や場面でも人の気分に合わせてくれるカメレオンのような能力を失ってしまったということだ。

ゴルフのフェイスリフトが間もなく予定されており、車載のマルチメディア・スクリーンの問題が一部修正されるはずだが、同時にマニュアル・トランスミッションの終わりも意味する。

記事に関わった人々

  • 執筆

    ジェームス・ディスデイル

    James Disdale

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    平成4年生まれ。テレビゲームで自動車の運転を覚えた名古屋人。ひょんなことから脱サラし、自動車メディアで翻訳記事を書くことに。無鉄砲にも令和5年から【自動車ライター】を名乗る。「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。イチゴとトマトとイクラが大好物。

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