A3やAクラスも良いけれど ボルボV40 放っておけない優秀ハッチバック UK中古車ガイド

公開 : 2024.02.04 19:05

洗練されたスタイリングに、丁寧さを感じる製造品質 A3を彷彿とさせる、優れた運転体験 過小評価されてきたハッチバックを、英国編集部が振り返る

知るほど放っておけない、優れたハッチバック

アマゾンにP1800、240、850 T5-R。後年にもマニアから愛されるモデル作りが、ボルボは得意なのかもしれない。2012年から2019年まで販売された2代目V40にも、実は驚くほど多くのファンがいる。

派手ではないが、洗練されたスタイリングに、丁寧さを感じる製造品質。同世代のアウディA3を彷彿とさせる、優れたドライビング体験と、平均以上の実用性。詳しく知るほど、放っておけない優れたハッチバックだということが見えてくる。

ボルボV40(2代目/2012〜2019年/英国仕様)
ボルボV40(2代目/2012〜2019年/英国仕様)

英国における中古車の価格は、そのA3より1000ポンド(約19万円)ほど安い。それでいて、装備は僅かに勝る。過小評価されてきたのは、少しマイナーなブランドイメージが影響しているのかもしれない。

2012年にV40が発売された当時、ボルボはジーリー・ホールディングス傘下へ加わり、態勢を立て直しつつあった。ファミリーハッチバックの市場で、プレミアムモデルとしての地位を確立することが狙われていた。

ベースとしたプラットフォームは、モデル開発時に親会社だった、フォードのフォーカス用。2015年までは、ガソリンとディーゼルエンジンも、フォードと共用された。フォーカス STに載った、2.5L直列5気筒ガソリンターボもV40 T5で選ぶことができた。

それ以降は、独自のエンジンへスイッチ。T5には2.0L 4気筒ターボが採用されるが、248psという最高出力は変わっていない。

魅力を拡大したクロスカントリー

V40の魅力を拡大したのが、クロスオーバーのV40 クロスカントリー。車高が40mm持ち上げられ、オフローダー風のプラスティック製フェンダーアーチを獲得し、アクティブな印象を与えた。ただし、T5のみ四輪駆動を得たが、オフローダーではない。

V40 クロスカントリーに対する反応は、英国では冷ややかだった。TVドラマシリーズへ、脇役として登場したけれど。フォルクスワーゲン・ポロやゴルフ・トゥーランにも似た仕立てのモデルは存在したが、販売数は通常のV40より遥かに少ない。

ボルボV40 クロスカントリー(2代目/2013〜2019年/英国仕様)
ボルボV40 クロスカントリー(2代目/2013〜2019年/英国仕様)

AUTOCARによる、新車当時のV40の試乗評価を振り返ると、実用的でスッキリとしたインテリアデザインや製造品質、幅広い安全機能などを高く評価。反面、硬めの乗り心地と動的な特長の薄さを指摘している。

2016年にフェイスリフト。フロントグリルが新しくなり、トールハンマーと呼ばれるT字のデイライトを獲得。新しいデザインのホイールとボディカラーが追加された。しかし、A3やメルセデス・ベンツAクラスを超える爪痕は残せなかった。

生産は2019年に終えているが、最終年式なら、5年落ちまでが対象になる認定中古車のV40がまだ見つかる。英国の場合は、2年間の無償サービスと保証が付帯する。控えめなボルボの魅力へ、触れてみてはいかがだろう。

記事に関わった人々

  • ジョン・エバンス

    John Evans

    英国編集部ライター
  • 中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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