2024年版 今こそ乗りたい「最強&最高」のスポーツカー 10選 公道で味わう「大人」テイスト

公開 : 2024.03.09 18:05

8. ジャガーFタイプ

長所:優れたコストパフォーマンス、FRならではのダイナミクス
短所:2シーターの基準からしてもあまり実用的ではない、古臭いインテリア

デビューから10年近くが経過したジャガーFタイプと「お別れ」の時期が来た。2023年末に生産終了し、後継車はまだ用意されていない。悲しいが、無理もない話だ。Fタイプは、ジャガーの創立者ウィリアム・ライオンズ卿が設計したEタイプの後継として大いに期待されたものの、その販売動向は現代のスポーツカー市場について多くを物語っている。

8. ジャガーFタイプ
8. ジャガーFタイプ

2013年の発売当時、弊誌は美しくて信頼性の高い「現代版TVR」のようなクルマとして評価を受けるだろうと予想していた。実際、しばらくの間はそのような反響が見られた。しかし、時代は少しずつ変わっている。アウディR8のようなスーパースポーツカーから、ポルシェケイマンアルピーヌA110のような比較的安価なモデルまで、トレンドの中心はミドシップに移行した。

そうした状況に、Fタイプも必死に食らいついた。さまざまなパワートレインを導入し、2020年初頭に行われた改良以降はさらに多くのバリエーションを展開している。

最高出力575psのFタイプRが最上位に君臨し、6万ポンド(約1140万円)以下で300psを発生するエントリーモデルが足元を固める。その中間として、V8と後輪駆動を採用するFタイプP450が空白を埋める。

改良時に新しいスタイリングが採用され、外観は確かに新鮮なものとなった。弊誌が試乗したFタイプR AWDモデルでは、どこかV8ホットロッドを思わせるスピードとノイズで魅了され、しかもハンドリングの正確さとシャシーの安定感に感銘を受けた。

Fタイプはジャガーのファンに支えられてきたが、年月を重ねるにつれ、その欠点は無視できないものになってしまった。確かに走りは良いのだが、貧弱なパッケージのインテリアが足を引っ張り、新しい外観も見慣れたものになった。新型車の報せが待ち遠しい。

9. メルセデスAMG SL

長所:大パワー、速さ、V8エンジンの柔軟性
短所:「スポーツカー」と呼ぶにはやや不自然、高価

メルセデス・ベンツSLは長年にわたり、ハードな「スポーツカー」と快適な「クルーザー」の間で揺れ動いてきた。最新の第7世代では明らかに前者を目指し、後者とは距離を置こうとしている。AMGのエンジニアによって専用設計され、新開発のアルミニウム製プラットフォームを採用していることからもSLが理想とする姿がよくわかる。

9. メルセデスAMG SL
9. メルセデスAMG SL

従来の電動格納式メタルルーフに代わって軽量なファブリックルーフを採用したこと、四輪操舵(4WS)を設定したこともSLの性格を示している。エントリーモデルのSL 55は最高出力477psの4.0L V8ツインターボを搭載し、0-100km/h加速3.9秒、最高速度295km/hを謳う。これではちょっと物足りないという人のために、最高出力585psのSL 63も用意されている。

いずれも先代モデルよりダイナミックで高性能だ。クイックなステアリング、強力なグリップ、引き締まったボディコントロールによって、正確かつ冷静にコーナーを駆け抜けることができる。四輪駆動のおかげでV8エンジンの強大なパワーを存分に発揮することができ、またペダル操作によるドライバーの遊び心を許容するセンスも備えている。

しかし、少々「贅肉」が多いように感じられ、ドライバーとの距離感や軽快感はポルシェ911に敵わない。とはいえ、日常的な使い勝手はよく、アダプティブダンパーで快適な乗り心地を実現し、インテリアもSクラス並みに豪華になった。結論、ドライバーの気分が乗っているときは積極的に遊び、そうでないときはリラックスできる、優れたオールラウンダーである。

記事に関わった人々

  • マット・ソーンダース

    Matt Saunders

    英国編集部ロードテスト・エディター
  • 林汰久也

    Takuya Hayashi

    平成4年生まれ。テレビゲームで自動車の運転を覚えた名古屋人。ひょんなことから脱サラし、自動車メディアで翻訳記事を書くことに。無鉄砲にも令和5年から【自動車ライター】を名乗る。「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。イチゴとトマトとイクラが大好物。

関連テーマ

おすすめ記事

 

レクサスの人気画像