17年目でもチャーミング! フィアット500 C ハイブリッドへ試乗 2024年も納得の好燃費

公開 : 2024.03.09 19:05

マイルドハイブリッドを得た、発売から17年目の従来型フィアット500 今でも魅力的な容姿に優秀なパッケージング オリジナルへ通じる魅力 英国編集部が評価

発売から17年目の内燃エンジン版500

バッテリーEV版の新型フィアット500eが発売されても、従来型の内燃エンジン版、500は健在だ。こちらは、2024年で発売から17年目。ライバルのミニは、25年間に3世代のモデルチェンジを経ているのだが。

自動車史を振り返ると、特別な小型車は長寿命であることが多かった。モーリス・ミニ・マイナーとシトロエン2CVは、40年以上も生産された。フォルクスワーゲン・タイプI、ビートルは60年以上も愛された。

フィアット500 C ハイブリッド(英国仕様)
フィアット500 C ハイブリッド(英国仕様)

現在の自動車市場では、そこまで生き残ることは難しいだろう。だが来年には、1957年に発売されたオリジナル、ヌォーヴァ500より長く生産されることになる。

そのヌォーヴァ500の発売から50年という節目の、2007年に発表されたのが現行の500。レトロモダンなデザインで世界的なヒットとなり、フィアットのイメージ自体も向上させた。500 Xや500 Lという派生モデルも生み出した。

AUTOCARでは何度か500へ試乗しているが、直近は数年前。2気筒と4気筒の古いエンジンから、最高出力68ps、最大トルク9.3kg-mの、新しい1.0L 3気筒ターボエンジンへ交代した2020年以来だ。

そのタイミングで、電圧12Vで稼働するスターター・ジェネレーター(ISG)と、小さなリチウムイオン・バッテリーも組まれ、マイルド・ハイブリッド化。MTは、5速から6速へアップデート。5速セミATは、継続された。

2015年にはフェイスリフトも受けている。ヘッドライトとテールライト、バンパーなどへ僅かに手が加えられた。

今でも魅力的な容姿 優秀なパッケージング

クルマの人気は、見た目に左右されることが多い。かつてはリアエンジンだったのに対し、現行型はフロントエンジン。2+2ではなく4シーターであることを考えると、プロポーションを維持しつつモダナイズさせた仕事を、高く評価するべきだろう。

確かにオリジナルには、ヘッドライトの下に大きなライトクラスターはなかった。だとしても、ボンネットのラインはヌォーヴァ500を彷彿とさせる。現代の技術で彫りの深いプレスを実現し、小さなフィアットは、今でも魅力的な容姿を保っている。

フィアット500 C ハイブリッド(英国仕様)
フィアット500 C ハイブリッド(英国仕様)

インテリアは、2015年のフェイスリフト時から大きな違いはない。シフトレバーとインフォテイメント系に、アップデートが施された程度だが、パッケージングはまだまだ優秀といえる。

正直なところ、ステアリングホイールが大きいこともあって、若干の窮屈さは否めない。ペダルは足元に近く、ステアリングコラムは前後方向の調整ができない。

だが、頭上空間が狭いわけではない。フロントシートを調整すれば、いい塩梅の運転姿勢に落ち着ける。外界の視認性も良好だ。

今回試乗したカブリオレの500 Cでは、ソフトトップを1番後ろにスライドすると、後方視界が遮られてしまう。荷室の使い勝手も大きく劣る。開放感を選ぶか、使い勝手を選ぶかは、しっかり考えた方が良いだろう。

オリジナルのように、車内空間を確保するため、ルーフは丸く膨らんでいる。全長は3571mmでも、リアシートがちゃんとある。クッションは薄めで、狭いとはいえ。荷室容量は、通常の500なら185Lだ。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マット・ソーンダース

    Matt Saunders

    英国編集部ロードテスト・エディター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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