「電気を使い切って運転を楽しむ」付き合い方 アバルト500e 長期テスト(3) 臨機応変に充電

公開 : 2024.09.28 09:45

アバルト・フレーバーの効いた500e 高めの価格に目を引くスタイリング 公道での走りの興奮度はいかに? 本物の電動ホットハッチと呼べるのか、英国編集部が長期テストで確認

積算7226km 雑貨の買い物でも荷室はいっぱい

現在の筆者は、とあるイケアの近くに住んでいる。たまに、庭先へ名物のミートボールの匂いが漂ってくる。このくらいの距離だと、組み立て家具が入った箱、フラットパックがクルマに載らなくても深刻な問題にはなりにくい。

先週末は、食事用のトレイとカトラリー類、シナモンロールを購入した。どれも大きくない雑貨とはいえ、ウオッシャー液と充電ケーブルが積まれていた荷室には、それ以上の荷物を積むことはできなかった。

アバルト500e ツーリスモ(英国仕様)
アバルト500e ツーリスモ(英国仕様)

積算8462km パンク修理キットの電動ポンプ

先日の朝、アバルト500eのリアタイヤへビスが刺さり、パンクしていることに気付いた。標準装備になっている、パンク修理キットの電動エアポンプを使うという、珍しいタイミングがやって来た。

早朝から少しうるさかったとは思うが、無事に膨らますことができ、ソロソロと近所のタイヤショップへ。タイヤは修理可能ということで、刺さっていたビスが外され、僅か5分程度で穴も塞がれ、ひと安心だ。

アバルト500e ツーリスモ(英国仕様)
アバルト500e ツーリスモ(英国仕様)

積算8569km 久しぶりの再開が待ち遠しい

長期テストで乗るクルマが、どこまで親しい存在になっているのかは、しばらく離れていると良くわかる。久しぶりの再会が待ち遠しいのか、またアレと付き合うのかと思うのか。人間の気持ちは正直だ。

筆者は数週間、アバルト500eに乗れずにいた。果たして、もう一度ステアリングホイールを握れる日が、待ち遠しかった。

アバルト500e ツーリスモ(英国仕様)
アバルト500e ツーリスモ(英国仕様)

しばらく離れていると、不思議と情も湧いてくるもの。同僚から借りた、巨大なランドローバーディフェンダー 130の取り回しに少し手を焼いたこともあって、一層そんな気持ちは強くなっていたようだ。

バッテリーEVのアバルト500eは、機敏で活発。改めて運転してみたら、225kmくらいしか走れない航続距離のことなど、忘れるほどうれしい気持ちになった。

急速充電能力も最大で80kWと速くはないが、最近はそんな実情に合わせた運転に慣れてしまった。駆動用バッテリーの充電が切れそうで焦ったことは、しばらくない。

容量の大きいバッテリーは、それだけ充電にも時間がかかる。小さければ、比較的短時間で済む。気持ちに余裕を持って、臨機応変に充電ステーションへ立ち寄るという考えが、自分には定着している。

電気を使い切り、しっかり運転を楽しむ

先日は、オフィスで数本の会議を終えるまでに、残量20%から100%まで回復を済ませられた。週末には、30分ほど運転を楽しんで、近所の充電ステーションにも寄るのが日課になっている。

アバルト500eの弱みと、上手に付き合えるようになったと思う。それによって、新たな喜びも感じている。

アバルト500e ツーリスモ(英国仕様)
アバルト500e ツーリスモ(英国仕様)

航続距離を可能な限り伸ばす、ツーリズモ・モードを選ぶ機会は少なくなった。割り切って、全力を引き出せるトラック・モードにすることが多い。目的地までの最短ルートにこだわることも減った。適度にカーブが続く、面白そうなルートをつい選んでしまう。

コンパクトなバッテリーEVを普段使いしていると、こまめな充電からは逃れられない。それなら電気を使い切って、しっかり運転を楽しんだ方が良いのではないかと思う。

とはいえ、アバルト500eの最近の平均電費は6.4km/kWh。このクラスのバッテリーEVとしては、褒められるものではないだろう。悪い数字とはいえないものの、この大きさなら8.0km/kWh前後は期待したくなる。

先日試乗したフォルクスワーゲンID.バズは、大きなワンボックス・ボディでも、7.0km/kWhを超える場面が少なくなかった。今後数週間は、従来以上に意識して電費の推移を見ていこうと思う。1度の充電で、320kmに迫れるだろうか。

記事に関わった人々

  • 執筆

    フェリックス・ペイジ

    Felix Page

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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