ジャガー、全車種廃止まで数か月? 1年間は新車販売なしか 12月に新型EVコンセプト発表

公開 : 2024.08.14 18:05

ジャガーがEVシフトを進める過程で、地域によっては新車販売が1年ほどストップする可能性がある。今年12月に次世代EVコンセプトを披露するが、重視するのは米国市場だ。

次世代コンセプトは4ドアの電動GTか

英国のジャガーは、電気自動車(EV)の需要が安定していないにもかかわらず、来年から完全電動化する計画を堅持している。そして数か月以内に既存のラインナップをすべて廃止し、新時代の方向性を示すコンセプトカーを発表する。

ジャガーの次世代モデルは、スタイリング的にも技術的にも、そしてその位置づけにおいても、これまでのモデルとは無縁のものとなる。これまで同社は、次世代モデルについて「何物のコピーでもない」としか説明してこなかった。

12月に発表予定のコンセプトカーは、4ドアのグランドツアラー(GT)になると予想される。(編集部作成予想イメージCG)
12月に発表予定のコンセプトカーは、4ドアのグランドツアラー(GT)になると予想される。(編集部作成予想イメージCG)    AUTOCAR

しかし、12月に発表される新しいコンセプトカーによって、多くの疑問に答えが出されるだろう。航続距離700km以上、超急速充電、合計出力580ps以上のツインモーター・パワートレインを備えた10万ポンド(約1880万円)級の4ドアGTである。

コンセプトカーは、2028年までに発売予定の大型SUVおよび大型セダンにも採用される新時代のデザイン言語を示す。

ジャガーのマネージング・ディレクターであるロードン・グローバー氏はAUTOCARの取材に対し、これらの新型車を設計する際に優先したのは、EVデザインの基本原則を見直すことだったと語った。今日のEVが「どれも似たようなものに見えるのは、航続距離を稼ぐために空力を重視しすぎたから」だという。

「(EVの外観は)非常に均質です。EV分野が少し失速した理由の1つは、そこにあるのではないでしょうか。そのような慣習に挑戦するクルマを作りたい」

従来のイメージを変えるデザイン

グローバー氏は詳細を明かさなかったが、AUTOCARはこれまでに得た情報から次世代モデルのスタイリングについてある程度イメージを掴んでいる。最大の特徴は、長く突き出たボンネット、ジャガーブランドの新しい顔となる新グリルを配したミニマルで堂々としたフロントエンドだ。また、フロントとリアのLEDライトは消灯時にはほとんど見えないほどスリムになり、ポールスター4のようにリアウィンドウはないと考えられる。

ジャガーの跳躍する猫のエンブレム(ザ・リーピングジャガー)が廃止されるという予想もあったが、これについてグローバー氏は、「少し誇張されすぎている」と否定した。その理由は、「高級車ブランドにとって、その出自や歴史、アイコンは非常に重要」だからだ。

フラッグシップモデルとして大型の高級セダンも投入する。(編集部作成予想イメージCG)
フラッグシップモデルとして大型の高級セダンも投入する。(編集部作成予想イメージCG)    AUTOCAR

「そこで我々は、新ブランドと新型車のためにリーパー(猫のエンブレム)を再構築しました。少し発展した形ではありますが、これからも生き続けるでしょう」

同様に、車名については歴史的なネーミングの影響を受けることを示唆した。「ネーミング戦略をご覧いただくと、我々の過去に対する敬意だけでなく、より先進的な側面も見えてくるでしょう」

グローバー氏は、米国市場の重要性から新型の4ドアGTの発表を米国で行うと述べた。しかし、ブランドの起源を軽視しているわけではないという。「英国らしさは重要ではない、という意味ではありません。そこはブランドにとって非常に重要な部分ですが、我々はグローバルブランドでもあります。米国市場の大きさと規模を見てください。我々にとって本当に重要なのです」

記事に関わった人々

  • 執筆

    フェリックス・ペイジ

    Felix Page

    役職:副編集長
    AUTOCARの若手の副編集長で、大学卒業後、2018年にAUTOCARの一員となる。ウェブサイトの見出し作成や自動車メーカー経営陣へのインタビュー、新型車の試乗などと同様に、印刷所への入稿に頭を悩ませている。これまで運転した中で最高のクルマは、良心的な価格設定のダチア・ジョガー。ただ、今後の人生で1台しか乗れないとしたら、BMW M3ツーリングを選ぶ。
  • 執筆

    スティーブ・クロプリー

    Steve Cropley

    役職:編集長
    50年にわたりクルマのテストと執筆に携わり、その半分以上の期間を、1895年創刊の世界最古の自動車専門誌AUTOCARの編集長として過ごしてきた。豪州でジャーナリストとしてのキャリアをスタートさせ、英国に移住してからもさまざまな媒体で活動。自身で創刊した自動車雑誌が出版社の目にとまり、AUTOCARと合流することに。コベントリー大学の客員教授や英国自動車博物館の理事も務める。クルマと自動車業界を愛してやまない。
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

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