ジュリエッタ・ユーザーを呼び戻す? アルファ・ロメオ・ジュニア・エレットリカへ試乗 HVも登場!

公開 : 2024.11.04 19:05

ブランドを立て直す役目を負うSUV、ジュニア・エレットリカ マセラティを想起させるテールライト モードを問わず洗練性は高い ライバル以上にダイナミック 英編集部が評価

経営を立て直す確かな牽引役になる?

アルファ・ロメオの未来への足取りが、軽く感じられるのは筆者だけだろうか。誇り高きイタリアン・ブランドは、しっかり進むべき道を見据えているように思う。この小さな電動SUV、ジュニア・エレットリカを携えて。

古くからのブランドファン、アルフィスタが、コンパクトSUVを待ち望んでいたとは考えにくい。それでも、経営を立て直す確かな牽引役になる可能性は高い。

アルファ・ロメオ・ジュニア・エレットリカ・スペチアーレ(英国仕様)
アルファ・ロメオ・ジュニア・エレットリカ・スペチアーレ(英国仕様)

従来のアルファ・ロメオのラインナップは、トナーレジュリア、ステルヴィオという3台体制。これにジュニアが加わることで、大幅にシェアを拡大できると同社の上層部は予想する。ミトとジュリエッタの、元ユーザーを呼び戻せることにも期待しつつ。

英国でも、アルファ・ロメオは攻勢を強めつつある。2025年までに、新たに6か所のディーラーが増える計画だという。これにより、合計30拠点へ強化される。増えたスタッフを喜ばせる商談数を得られそうか、試乗で確かめてみよう。

AUTOCARでは、既にジュニア・エレットリカへ試乗している。それは282psのヴェローチェ仕様で、爽快な運転体験を求めて、引き締まったサスペンションが組まれていた。車高は25mm低く、20インチ・ホイールがフェンダーへピタッと収まっていた。

しかし、英国でより支持を集めるのは、もっと穏やかな仕様。今回試乗したスペチアーレが、6割を占めると見積もられている。

マセラティを想起するテールライト 車内は広め

英国仕様のジュニア・エレットリカ・スペチアーレでは、18インチ・ホイールと高音質オーディオ、レザー巻きのステアリングホイールを獲得。運転支援システムも、ベースグレードより高機能になる。

見た目の印象は、実際のところヴェローチェの方が魅力的。横から見ると、タイヤとホイールアーチとの隙間が意外と目立つ。クルマに詳しくない人は、プジョーe-2008と見間違える可能性もありそうだ。

アルファ・ロメオ・ジュニア・エレットリカ・スペチアーレ(英国仕様)
アルファ・ロメオ・ジュニア・エレットリカ・スペチアーレ(英国仕様)

それでも、ブーメラン状のテールライトは、古いマセラティ3200GTを想起させる。彫刻的なスクデット・フロントグリルも、記憶に残る表情を生んでいる。

ジュニア・エレットリカの基礎骨格をなすのは、ステランティス・グループのe-CMP。フィアット600eジープアベンジャーだけでなく、先述のe-2008も採用するプラットフォームだ。

サスペンションは前がストラット式で、後ろがトーションビーム式。駆動用モーターはフロントに積まれ、最高出力は156ps。駆動用バッテリーの容量は54kWh。これらもe-2008と共有するが、アルファ・ロメオは独自にチューニングしたと説明する。

インテリアは、ステランティス・グループのアイテムを用いつつ、巧みに高級感を演出している。高い位置のセンターコンソールが、クルマの低い位置へ座った印象を与える。カウルの付いたメーター用モニターは、歴史へのリスペクトだ。

車内空間は、このクラスとしては広め。大人5名が問題なく座れる。荷室容量も400Lと大きい。

記事に関わった人々

  • 執筆

    ジェームス・ディスデイル

    James Disdale

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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