新型パナメーラ最新画像

公開 : 2015.01.28 22:50  更新 : 2017.06.01 02:11

2016年に発表予定の次世代型ポルシェパナメーラを再びカメラに収めることができた。

新型は、MSBと名付けられた、後輪駆動および四輪駆動用の最新式プラットフォームをベースに数々の軽量化を施された。また、世界一スポーティなプレミアム・サルーンという立ち位置を確固たるものにする強力なV6およびV8ガソリン・エンジンをラインナップするという。

タイプ991型911に採用されたテクノロジーとデザインをベースにするパナメーラは、マグネシウム、多層構造スティール、アルミニウム製外板といった6種類の素材で構成される。

車両寸法の大型化、衝突安全基準の厳格化、標準装備のランクアップにもかかわらず、こうした新素材により911の車両重量は45kg軽量化された。

研究開発部門の取締役ヴォルフガング・ハッツはこう語っている。「重量というのはわれわれにとっては敵みたいなものです。それゆえアルミニウムの採用は最新の911と同じ割合にできるよう求めました。なにも対策を練らなければ車重は増加する一方でしょう。快適性と車両重量はつねに比例するものですから。」

アルミニウムのストラクチャーおよびボディ・パネルの採用率を高めなかった場合、ポルシェの試算によると最新型の911は約60kgの車重増になってしまうという。

こうした軽量化策によりパナメーラの車重はおよそ1800kgから1900kgというレベルに留まると思われる。それも、米国の消費者団体による非規制クラッシュテストへの対応と一層豪華になった装備があっての成果である。

新型モデルのホイールベースは現行型に比べてわずかに長くなり、前後オーバーハングは若干少なくなると思われる。車体寸法はだいたい同じながらインテリアは相応のラグジュアリー感を与えられた。

大きな変更点はスタイリングで、これは評価が二分している現行モデルのルックスの改善を意図している。

ポルシェのデザイン・チーフであるマイケル・マウアーが昨年10月のパリ・モーターショーで語ったところによると、スタイリングについて見解が分かれているが、これまでより魅力的になるということだ。

今回撮影に成功した写真をみると最新型911からの強い影響を見て取れる。とくにリアのホイール・アーチまわりやバック・スタイルは新型パナメーラではサイド・ラインによって強調されている。

マウアーはまた、リア・ガラスは高速走行向けの角度に寝かせられ、これまでより角度の強いファストバック・スタイルになると語っている。

ポルシェはインテリアの再設計を計画していると考えられ、センター・コンソールまわりの各機能のスイッチは、近年のトレンドである中央部のタッチ・スクリーンへ移行すると思われる。

しかし重要なのは、いかなるモデルであろうとポルシェの核心はエンジンだということだ。V6とV8ガソリン・エンジンの新ラインナップおよびターボ・エンジンが、新型パナメーラを際立たせるラインナップのひとつとして開発中のようだ。一から新しくなる新型パナメーラは、他にはないスポーティなキャラクターを確固たるものにする重要なステップを迎えている。

ポルシェとベントレーによる共同開発のV8をアウディのユニットで組むというフォルクスワーゲン・グループならではの代替案もあったが、コスト面の理由により立ち消えになった。

新型エンジンのテスト施設は、年間6000万ポンドという投資計画の一環としてヴァイザッハに設置され、これにより新しいエンジンを生産化に移すのがこれまでよりスムーズになると期待される。

ヴァイザッハで進む新型エンジンの開発作業は、この3年間で1万2000人から2万人へと増えた新規採用エンジニアの一部が関わる。また、V6およびV8のガソリン仕様だけでなく、V6ディーゼルとハイブリッドの構想もMSBプラットフォームには存在している。

ディーゼルはアウディのユニットを継続採用し、パナメーラ用にポルシェが改良を行うことになる。この作業も、同じくヴァイザッハにあるアウディのディーゼル開発部隊と共同作業になるため、一層スムーズに進めることができる。また、ベントレーもコンチネンタルとフライング・スパーの後継車に採用するためにMSB計画へ最終的には加わっている。

さらに、詳細は不明ながら、ポルシェはPDKデュアル・クラッチ・オートマチックとマニュアルについても開発を行っていると思われる。

いずれにしろ、ベントレーはZF製8速トルク・コンバーター・オートマチックを継続することは確認できている。ベントレーの関心が出力を穏やかな方向に改善することだと考えれば、これはごく自然なことのように思える。

ポルシェはいまだパナメーラの派生モデルについて公には認めていないものの、情報筋からは2ドア・クーペとコンバーチブル・タイプが用意されるという話がある。それらはベントレー・コンチネンタルGTおよびGTコンバーチブルとエンジニアリングを共有できるものだということだ。

たとえ生産化が承認されないとしても、コンバーチブル仕様にするためにボディ剛性を高め、フードの収納スペースを確保するという2ドア用のスタイリングは設計中のコンセプト・デザインに盛り込まれたようだ。

しかしながら、2018年までに年産20万台へと増加させるポルシェのプランには、こうしたモデルは不可欠だろう。さらには、毎年新たなモデルを発表すると確約もしているのだから。

2ドア・パナメーラ・シリーズ生産化の要は、市場における需要予測とポルシェの生産能力であろう。

カーボンファイバー製の918スパイダーとSUVモデルのマカンをわずか数年で発表までこぎつけた今となっては、エンジニアリング・チームはモデル・チェンジとアップデートが必要な既存モデルに注力したいと考えているのだ。

そのうえアウディの新型Q7と主要構造を共有する新型カイエン、それにベントレーのSUVモデルであるベンテイガも新型パナメーラと同時に生産化しなければならない。

ハッツが言うには「われわれは目下手一杯の状況で、オーバーフローしているところもあるのです。そこで本来注力すべきことに集中したいと考えています。過去4年間に多くの開発を進めましたから、それを確かなものにする期間にしたいのです。」

以下は、ポルシェの研究開発部門取締役ヴォルフガング・ハッツとの一問一答

新型パナメータは18ヶ月以内に生産化されますか?

開発の中間地点までは来ています。いつくらいになりますかね。生産開始まで18ヶ月とは行かないでしょうね。

新型911はアルミニウムを多く使用しています。パナメーラも同じ方向で開発するのですか?

それは間違いないでしょうね。タイプ991とアルミニウムの割合が同じかと言われると……増えると思いますよ。

軽量化はどのように実施するのですか?

新しいステップに進む必要がありますね。ボディ単体から50kg軽量化するとはいかないでしょうから、各コンポーネントのそれぞれの部位から削らなければなりません。

918スパイダーはカーボンファイバー・タブという構造です。911とボクスターにこの技術は流用できますか?

918スパイダーは非常に軽量なモデルですが、価格帯もずっと高いですよね。今後10年の間は、大量生産モデルにカーボンファイバーを使う用意はありませんね。

パナメーラ・クーペ、つまり新型928への展望をお聞かせください。

そのアイデアは気に入っているよ。けれども過去3年間でわれわれは918スパイダーとマカンを生み出したのです。この先には、パワートレインとトランスミッションを一新するという大きなプログラムも予定されています。また、レーシングカー919をゼロから立ち上げることもしましたよね。これだけでも十分に大きな成果と言えませんか?

将来的にプラグイン・ハイブリッド・スポーツカーの構想はありますか?

スポーツカーにとって最大の敵は重量だと考えています。バッテリー、冷却系、充電装置、電気系統、モーター、ECU、それだけで918スパイダーは320kgも重量が増えました。こうしたものが存在しなければ1300kgほどになったでしょう。これなら世界一軽量なスーパーカーだったのにね。

次期型911で軽量化の問題は解決できそうですか?

軽量化できればCO2排出量を削減できますが、われわれのカスタマーはそれをポルシェとは認めないでしょうね。それに911は走りが魅力的でなければなりませんし。重量増をともなったとしてもパフォーマンス向上を見込めるプラグイン・ハイブリッドだけは計画を進める可能性があります。それでも911・エコなんていうものは考えていません。

水平対向4気筒ターボ搭載のポルシェはいつ頃になりそうですか?

現在開発車両でテストしていますが、生産化の目処は立てていません。しかし、ダウンサイジングは進める必要があります。走りも楽しそうですからね。

ターボ仕様はポルシェの自然吸気エンジンに取ってかわるものですか?

カスタマーが選択する余地を残すつもりです。高回転型エンジン、自然吸気仕様というのは気持ちが高ぶりますよね。おそらくはそれぞれを用意するはずです。

今後はマニュアル・ギアボックス・モデルもラインナップされますか?

将来ずっとということでしたら、それは分かりませんね。次世代型モデルについては、マニュアルを準備できるでしょうね。2020年までは徹底的に話し合いますよ。

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