毎日に「ちょうどイイ」 シトロエンe-C3 マックス(2) 移動する自由を生む個性 航続距離を補うお手頃価格

公開 : 2026.06.01 18:10

中国製EVへ対抗する112psの小さなクロスオーバー、シトロエンe-C3。余裕ある車内空間や穏やかな乗り心地も特徴ですが、お手頃な価格とシンプルな運転体験が最大の強みです。UK編集部が試乗します。

移動する自由を生む徹底したシンプルさ

シトロエンらしいベーシックなバッテリーEV、e-C3。まさに、目的地へシンプルに移動するためのコンパクトカーといえ、必要な条件はしっかり満たす。

80km/hを超えると力不足を感じ、速いわけではない。それでも、現実的には殆どの環境で不満なく運転できる。市街地では、即座に立ち上がるトルクが力強く、キビキビと動き回れる。駆動用バッテリーの残量が減っても、パワーが落ちない制御も好ましい。

シトロエンe-C3 マックス(英国仕様)
シトロエンe-C3 マックス(英国仕様)

回生ブレーキを調整するパドルはなく、ワンペダルドライブにも非対応。シフトセレクターには、効きを強くする「B」すらないが、クルーズを意味するCボタンがある。高速走行時、回生ブレーキが強めに効くようになり、航続距離を伸ばしてくれる。

自由度が低いように思えるかもしれないが、実際はそんなことはない。絶妙な塩梅で、不満を感じさせることなく、合理的な移動を叶えている。徹底したシンプルさが、逆に移動する自由を生んでいるように思える。

高めの速度域なら穏やかな乗り心地

油圧バンプストッパーを採用し、スプリングとダンパーは柔らかく、乗り心地は高めの速度域なら穏やか。コンパクトカーでありながら、凹凸が目立たない路面の限り、入力はなだめられ車内は落ち着いたままだ。

一方、低速域では、マンホールや舗装のツギハギの存在を揺れで伝える。速度抑止用のスピードバンプでは、ボディが路面へ当たりそうに思えるほどリバウンドすることもあり、もう少しフラットさを保てれば魅力は高まるはず。

シトロエンe-C3 マックス(英国仕様)
シトロエンe-C3 マックス(英国仕様)

グリップ力は高く、カーブでの姿勢制御はまずまず。ステアリングホイールへ伝わる感触は薄いけれど。

運転支援システムは、クルーズコントロールや制限速度警告、車線維持支援などが標準。ボタン1つでオフにできるが、ドライバー監視機能は煩わしいほど過敏ではなく、衝突被害軽減ブレーキも過度には反応しないようだった。

お手頃な価格が、短めの航続距離を補う

試乗の限り、30.0kWhの駆動用バッテリーを積むe-C3 アーバンレンジは、市街地での平均電費が7.2km/kWh。流れに合わせて運転していれば、290km以上は走れる計算になる。高速道路では5.6km/kWhで、160km毎に充電の必要があるといえる。

充電器は7.4kWの家庭用へ対応するが、アーバンレンジでは急速充電がオプション。440ポンド(約9万円)の追加費用で、最大30kWへ対応する。

シトロエンe-C3 マックス(英国仕様)
シトロエンe-C3 マックス(英国仕様)

43.2kWhのバッテリーを積むe-C3 マックスでも、航続距離は物足りない数字といえるが、お手頃な価格がそれを補う。標準装備の急速充電は、平均60kWを記録していた。

装備は充実し、17インチ・アルミホイールにリアのパーキングセンサー、LEDヘッドライト、オートワイパー、10.25インチ・タッチモニター、無線充電パッドなどが標準。補助金後の英国価格は、アーバンレンジで1万8495ポンド(約388万円)からとなる。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マット・ソーンダース

    Matt Saunders

    役職:ロードテスト編集者
    AUTOCARの主任レビュアー。クルマを厳密かつ客観的に計測し、評価し、その詳細データを収集するテストチームの責任者でもある。クルマを完全に理解してこそ、批判する権利を得られると考えている。これまで運転した中で最高のクルマは、アリエル・アトム4。聞かれるたびに答えは変わるが、今のところは一番楽しかった。
  • 執筆

    マーク・ティショー

    Mark Tisshaw

    役職:編集者
    自動車業界で10年以上の経験を持つ。欧州COTYの審査員でもある。AUTOCARでは2009年以来、さまざまな役職を歴任。2017年より現職の編集者を務め、印刷版、オンライン版、SNS、動画、ポッドキャストなど、全コンテンツを統括している。業界の経営幹部たちには定期的にインタビューを行い、彼らのストーリーを伝えるとともに、その責任を問うている。これまで運転した中で最高のクルマは、フェラーリ488ピスタ。また、フォルクスワーゲン・ゴルフGTIにも愛着がある。
  • 執筆

    ジャック・ウォリック

    Jack Warrick

    役職:常勤ライター
    クルマだけでなく、英国のローカルニュースとスポーツ報道にも精通し、これまで出版物、ラジオ、テレビなど、さまざまなコンテンツ制作に携わってきた。フォルクスワーゲン・グループの小売業者向けニュースウェブサイトの編集者を務めた後、2021年にAUTOCARに移籍。現在はその幅広い経験と知識を活かし、主にニュース執筆やSNSの運営を担当している。これまで運転した中で最高のクルマは、トヨタGRヤリス。一番のお気に入りだ。
  • 翻訳

    中嶋けんじ

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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