英国の中古EV、エンジン車よりも安価に 1年で平均20万円下落 普及促進の可能性も
公開 : 2025.02.28 18:25
英国の中古EV価格は前年比で6.5%下落し、ディーゼル車を大幅に下回り、ガソリン車との差も縮めている。今後4年間で中古EVの取引台数はさらに増加する見通しで、普及の後押しになると期待されている。
今後4年間で取引台数は117%増加の見通し
英国の中古EV価格は、同等のエンジン車よりも低く、購入者にとって手頃な選択肢となっている。
中古車オークション業者のマンハイム・オークションズを所有するコックス・オートモーティブ社は、中古車価格が「安定化」してきているとの見方を示している。特にEVは、同等のディーゼル車よりも安く購入でき、2020年代初頭の経済変動の影響から解放されたという。

今週の時点で、マンハイム・オークションズで販売された2~4年落ちのEVの平均価格は1万5142ポンド(約287万円)で、1月より1.1%(162ポンド=約3万円)上昇したが、前年比では6.5%(1061ポンド=約20万円)下落した。
これは同等の中古ディーゼル車よりも23%(3477ポンド=約66万円)安かった。ディーゼル車の2月の平均価格は1万8619ポンド(約353万円)で、前月比では0.8%(148ポンド=約2万8000円)減だが、前年比では6.9%(1208ポンド=約23万円)増であった。
同等の中古ガソリン車の2月の平均価格は1万3392ポンド(約254万円)と、EVよりも依然として安価であるが(EVよりも11.6%、1750ポンド=約33万円安い)、この1年でその差は縮まっている。ガソリン車の平均価格は、前月比で2.4%(304ポンド=約5万7000円)、前年比で4%(509ポンド=約9万60000円)上昇しているためだ。
コックス社は、中古EVの台数は「今後4年間で著しい成長軌道」をたどり、2028年までに117.5%増加するだろうと述べた。
同社はさらに、価格変動を理由に最近まで中古EVを敬遠していたディーラーの多くが、中古EVの価値を認め始めていると付け加えた。中古EVは通常、売れ行きが早く、高いパフォーマンスを発揮しており、価格が安いものは掘り出し物のように見えることもある。
コックス社と自動車管理システムを提供するレジット社による合同調査では、ドライバーの69%がガソリン車やディーゼル車よりも割高であればEVを購入するつもりはないと回答しており、そのため「中古EVの価格低下の見通しは、普及を促進する可能性がある」とされている。
しかし、コックス社は中古EVにも問題がないわけではないと指摘する。同社の最新レポート『インサイト・クォータリー』の中で、インサイト・ディレクターのフィリップ・ノサード氏は、「EVの中古市場は、一般的にエンジン車よりも低価格であるため、価値を維持することが難しく、今後も細分化された状態が続くと予想される」と述べている。
さらに、「充電に対する付加価値税の課税、PHEVに対する現物給付税ルールの変更(特定のモデルでは税率が8%から24%に引き上げられる可能性がある)、自動車物品税(4月より)、ロードプライシングの導入の可能性など、規制による圧力が相まって、中古EV市場には依然として不透明感が漂っている」と続けた。
新車市場予測の中でコックス社は、EVが今年の英国の登録台数の24%を占め、2026年には30%、2027年には34%、2028年には36%になると推定した。いずれも、ZEV規制におけるメーカーの販売比率目標をそれぞれ3ポイント、4ポイント、16ポイント下回るものだ。
コックス社は、今年の中古車取引総数は横ばいとなり、2025年末までに760万台が取引されると予想している。しかし、新型コロナウイルスのパンデミックによって新車が不足しているため、価値は堅調を維持するとの見通しだ。




















