【かつてはサファリの名で活躍】歴代日産パトロール振り返り!クロカンの原点がフラッグシップSUVに昇り詰めるまで

公開 : 2025.03.11 11:05

2015年にはニスモ・モデルも登場

2010年に登場した6代目は、従来のパトロール像を大きく変えるターニングポイントになった。海外専売モデルとして道を歩みだすだけでなく、メインターゲットを中東の富裕層に変更し、高級車路線を歩みだしたのだ。このため、ボディも全長が5mオーバーの巨大なものになった。

ボディタイプは5ドア仕様のみに。パワートレインは、ふたたびガソリンエンジンのみにとし、シリーズ初のV型エンジンを搭載。5.6LのV8と4.0LのV6が設定された。メカニズムでは、サスペンションを前後共にダブルウイッシュボーンとし、シリーズ初の独立懸架式となった。

2015年に投入された『パトロール・ニスモ』は日本未発売だが、スーパーGTの救護用車両として活躍した。
2015年に投入された『パトロール・ニスモ』は日本未発売だが、スーパーGTの救護用車両として活躍した。    日産自動車

さらに4WDシステムも電子制御式のオールモード4×4を初搭載している。走行モード切替えやヒルスタートアシスト、ヒルディセントコントロールなどの機能も追加され、ドライバーサポート力も高められた。

シリーズの新たな取り組みとして忘れてならないのが、2015年に投入された『パトロール・ニスモ』だ。なんとパトロールをベースに、ニスモがチューニングを施したハイパフォーマンスモデルであり、エンジン性能もベースの+28hpとなる428hpを発揮した。日本未発売モデルではあるが、スーパーGTの救護用車両として活躍しているため、その存在自体は有名だ。

アルマーダ、QX56、そしてQX80

パトロールの上級化を受け、地域による役割も変わった。北米向けでは、一部仕様変更し、2代目日産アルマーダとして投入。さらにより豪華な仕様として、日産のラグジュアリーブランド『インフィニティ』の2代目QX56に。同車は後のQX80に名称を変更した。

最新世代でも、パトロールの北米仕様は、3代目アルマーダとしてデビュー。砂漠の走行までを含むパトロールとはトランスミッションのチューニングを変更するなど、市場にマッチした改良も加えているが、基本的には双子のような存在となる。

日産のラグジュアリーブランド、インフィニティからQX80として発売されている。
日産のラグジュアリーブランド、インフィニティからQX80として発売されている。    日産自動車

最新型インフィニティQX80のベースであり、基本構造を共有しているが、外装デザインが専用化される上、内装や装備もより豪華に仕上げられるなど差別化が図られている。

すっかり日本とは無縁となった感のあるパトロールだが、海外向けも日本で製造供給されていたものが多く、最新世代も日産車体九州製となっている。それだけに日本での復活を期待したくなるのは、筆者だけではないはずだ。

記事に関わった人々

  • 執筆

    大音安弘

    1980年生まれ、埼玉県出身。幼き頃よりのクルマ好きが高じて、エンジニアから自動車雑誌編集者に転身。現在は自動車ライターとして、軽自動車からスーパーカーまで幅広く取材を行う。原稿では、自動車の「今」を分かりやすく伝えられように心がける。愛車は、スバルWRX STI(VAB)とBMW Z4(E85)など。
  • 撮影

    内藤敬仁

    Takahito Naito

    1986年よりフリーランスカメラマンとして主に車関係の雑誌、広告の撮影に携わる。趣味は洗車。好きな音楽は1970年代のブリティッシュロック。たまにロードバイクでサイクリンロードを走って風圧と老化に抵抗したりする。
  • 編集

    平井大介

    Daisuke Hirai

    1973年生まれ。1997年にネコ・パブリッシングに新卒で入社し、カー・マガジン、ROSSO、SCUDERIA、ティーポなど、自動車趣味人のための雑誌、ムック編集を長年担当。ROSSOでは約3年、SCUDERIAは約13年編集長を務める。2024年8月1日より移籍し、AUTOCAR JAPANの編集長に就任。左ハンドル+マニュアルのイタリア車しか買ったことのない、偏ったクルマ趣味の持ち主。

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