【かつてはサファリの名で活躍】歴代日産パトロール振り返り!クロカンの原点がフラッグシップSUVに昇り詰めるまで

公開 : 2025.03.11 11:05

2024年9月に7代目が発表され、先日まで本社ギャラリーでも展示された日産パトロール。その原点は1951年に登場したジープタイプまで遡ります。日本ではサファリとも呼ばれていた歴代モデルを、大音安宏が振り返ります。

1980年から2002年までは日本名『サファリ』で活躍

日産車で最も古いネーミングを持つのが、世界の厳しい環境下で活躍するフラッグシップSUV『パトロール』だ。グローバルでは、2024年9月に7代目となる新型モデルが発表され、昨年11月よりアラブ首長国連保やサウジアラビアなどを含む、中東地域での販売が開始されている。

現状では海外専売モデルとなっているが、かつては日本での販売実績もあり、1980年から2002年までは日本名『サファリ』で活躍した。そんなパトロールの歴史を振り返りつつ、最新モデルの謎に迫ってみた。

日産本社ギャラリーに展示された7代目となる新型(右)と2代目パトロール(左)。
日産本社ギャラリーに展示された7代目となる新型(右)と2代目パトロール(左)。    内藤敬仁

日産パトロールの誕生は政府が、太平洋戦争後の1950年に発足した警察予備隊向けの小型4輪駆動車開発と製造を、自動車メーカーに打診したことに始まる。最終選考に残った日産、トヨタ、後に三菱重工業の一部を担う中日本重工業の3社が最終テストを受けた結果、『三菱ジープ』が採用された。

その際に生まれたのが、日産パトロールと後にランドクルーザーを名乗ることになる『トヨタBJジープ』であり、同時期に生まれた純国産クロカンの原点なのだ。1951年に完成したジープタイプの日産パトロールは市販化され、国家地方警察や官公庁などを中心に販売。1960年まで生産され、主にビジネスカーとして活躍していくことになる。

クロカンらしいスタイルになった第2世代

第2世代は、1960年に登場。スタイリングの脱ジープ化が図られ、クロカンらしいスタイルに仕上げられていた。デザインの独自性が強まったことに加え、ボディラインアップもソフトトップ、ハードトップ、ワゴン、海外向けのトラックまで拡大。

さらに消防車専用モデル『ファイヤーパトロール』が設定されたことで、日本での認知度も高まった。またインドでは、『ジョンガ』の名でのクックダウン及びライセンス生産が行われた。

スタイリングの脱ジープ化が図られ、クロカンらしいスタイルに仕上げられた2代目パトロール。
スタイリングの脱ジープ化が図られ、クロカンらしいスタイルに仕上げられた2代目パトロール。    内藤敬仁

より乗用車ライクな進化を見せ、日本では『サファリ』の名を名乗った3代目は、1980年に登場。刑事ドラマ『西部警察』に登場する『特別機動車両サファリ4WD』のベースとなったのも、この3代目モデルだ。新たな機能として、ディーゼルエンジンとATが採用されたのも大きなトピックであった。同車は4代目登場後も、一部仕様の生産が継続され、2002年まで現役であった。

快適性が高まり、クロカンとしての魅力がアップ

1987年に登場する4代目は、サスペンションにリジット+コイルスプリングを採用した初のモデル。ワゴン仕様では前後コイルサスとし、バンやトラック仕様では後輪がリーフ仕様を基本とした。またパワーステアリングも標準化するなど、運転がしやすく、乗り心地が向上したことで、乗員の快適性が高まり、クロカンとしての魅力を高めていた。

1997年に登場した5代目は、近代化と共に、高性能化が図られたのが大きな特徴。最上位のエンジンは、ガソリン仕様の4.8L直6DOHCと、ディーゼル仕様のインタークーラー付き3.0L直4DOHC直噴ターボを搭載。ボディタイプは、前後輪コイルサスを採用する3ドアと5ドアのボディに加え、前輪コイルサス+後輪リーフサスの2ドアピックアップを用意した。

3代目サファリ(日本名)は、刑事ドラマ『西部警察』で『特別機動車両サファリ4WD』のベースとなった。
3代目サファリ(日本名)は、刑事ドラマ『西部警察』で『特別機動車両サファリ4WD』のベースとなった。    日産自動車

日本では3代目サファリとして販売されたが、SUVの主体が乗用車ベースのクロスオーバーSUVにシフトしたことを受けて、2002年に販売を終了。これらの進化が、その後のパトロール上級化の原点となった。

5代目モデルのもうひとつの特徴が、世界的には歴代最長寿モデルとなり、2024年まで生産と販売を継続されたことだ。パトロールの本流であるヘビーデューティ向けモデルとして、厳しい環境下でクロカンを愛用するユーザーたちに支持され続けていた。

記事に関わった人々

  • 執筆

    大音安弘

    1980年生まれ、埼玉県出身。幼き頃よりのクルマ好きが高じて、エンジニアから自動車雑誌編集者に転身。現在は自動車ライターとして、軽自動車からスーパーカーまで幅広く取材を行う。原稿では、自動車の「今」を分かりやすく伝えられように心がける。愛車は、スバルWRX STI(VAB)とBMW Z4(E85)など。
  • 撮影

    内藤敬仁

    Takahito Naito

    1986年よりフリーランスカメラマンとして主に車関係の雑誌、広告の撮影に携わる。趣味は洗車。好きな音楽は1970年代のブリティッシュロック。たまにロードバイクでサイクリンロードを走って風圧と老化に抵抗したりする。
  • 編集

    平井大介

    Daisuke Hirai

    1973年生まれ。1997年にネコ・パブリッシングに新卒で入社し、カー・マガジン、ROSSO、SCUDERIA、ティーポなど、自動車趣味人のための雑誌、ムック編集を長年担当。ROSSOでは約3年、SCUDERIAは約13年編集長を務める。2024年8月1日より移籍し、AUTOCAR JAPANの編集長に就任。左ハンドル+マニュアルのイタリア車しか買ったことのない、偏ったクルマ趣味の持ち主。

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