【サーキットの技術を公道へ】マクラーレンとカーボンファイバーが織りなす40年以上の進化を、名車とともに振り返る
公開 : 2025.03.17 07:05
マクラーレン・コンポジット・テクノロジーセンター開設(2018年)
2018年、イギリスのシェフィールドにマクラーレン・コンポジット・テクノロジーセンター(MCTC)を開設。5000万ポンドを投じて建設された、ウォーキング以外で初の独立したマクラーレン生産施設だ。このワールドクラスの施設は、マクラーレン・オートモーティブとシェフィールド大学のAMRC、シェフィールド市議会とのパートナーシップで実現した。コンポジット・エンジニアリングとその研究に関する卓越した拠点となることを目指すと同時に、未来のパワートレイン技術を直接組み込める新世代カーボンファイバー製タブの生産拠点でもある。
MCTCで製造された最初の市販車用カーボンファイバー製パーツは、驚異的に軽量なマクラーレン765LTのものだった。アクティブ・リア・ウィング、リア・バンパー、フロント・フロアは、すべてMCTCで設計、開発、製造された。

マクラーレン・アルトゥーラ(2021年)
アルトゥーラでは、新世代のハイパフォーマンス・ハイブリッド・パワートレインを組み込むために特別に設計された、マクラーレン・カーボン・ライトウェイト・アーキテクチャー(MCLA)が導入された。それまでのシャシーより軽量で強度も高まったMCLAは、アルトゥーラのハイブリッドV6パワートレインを支えると同時に、カーボンファイバー製モノコックの構造的利点がさらに最適化され、進歩している。マクラーレン・コンポジット・テクノロジーセンターで製造されるMCLAは、カーボンファイバー製モノコック技術に革命を起こした。それまでモノセルとモノケージIIで進化してきた軽さと剛性という長所が強化されただけでなく、アルトゥーラのハイブリッドシステムで使われるバッテリー用のセーフティーセルが組み込まれ、さらに耐衝突・耐荷重の機能もタブに統合されたのだ。
また、マクラーレンの革命的な技術によって、アルトゥーラのMCLAカーボンファイバー製モノコックは、それまで不可能だった規模での量産が可能となった。続いて登場したアルトゥーラ・スパイダーでも、マクラーレンの軽量スパイダーのDNAが受け継がれ、クーペ・バージョンからのシャシー強化や補強を追加する必要はなかった。マクラーレン初となるコンバーチブルのハイパフォーマンス・ハイブリッド・スーパーカーは、妥協なしで誕生したのだ。

マクラーレンW1(2024年)
W1では、マクラーレンの軽量カーボンファイバーDNAをさらに進化させた『エアロセル』が登場した。エアロセルは、マクラーレンがロードカーのために設計した中で技術的に最も先進的でラディカルなカーボンファイバー製タブで、極めてエクスクルーシブなサーキット専用モデルのソーラスGTと同じ、プリプレグ・カーボンファイバーで作られている。この技術では、あらかじめ様脂が含浸されたコンポジットを使用するため、硬化プロセスがシンプルになる。また、そのあと型の中で加圧処理を行うことで、同等のサイズのタブより構造的強度が高まる。
同一条件の比較でいっそう軽量になるだけでなく、エクステリアの一部でボディワークの追加が不要になるメリットもある。エアロセルは、W1が誇る究極の空力パッケージの鍵を握る要として設計されており、真のグラウンド・エフェクトを活用するため、モノコックのフロアを65mm高くし、その結果フットウェルの位置が上がり、エアロセルの前方に向かって最大80mm高くすることを可能にした。同時に、エアロセルと車両の全長を抑えるためシート・ポジションを固定して、モノコックとシートを一体化している。この設計により、ホイールベースが約70mm短縮されたほか、重量が削減されるというメリットも加わった。

W1には、マクラーレンの次世代カーボンファイバー技術であるARTカーボンも導入されている。マクラーレンが開発した画期的な『高速』積層製造技術、オートメイテッド・ラピッド・テープ(ART)によって実現したARTカーボンは、エンジニアに新たな可能性の扉を開く素材だ。
いっそう軽量、高剛性で、製造時の廃棄物が少なく、特殊な特性を持たせて最適化したカーボンファイバー製パーツを素早く作り出せるこの新技術は、W1のアクティブ・フロント・ウィングに採用されている。









