【注目は1.2Lハイブリッド】ふんわり感アップ!新型C4の乗り味はよりシトロエンらしく

公開 : 2025.04.23 11:45

モーター内蔵の6速DCTをドッキング

こうしたデザインと並ぶ新型のアピールポイントが、最初にも書いた新開発のハイブリッドシステムだ。既存の1.2L直列3気筒ターボに、モーター内蔵の6速DCTをドッキングしている。

48Vというシステム電圧、16kW/51Nmというモーターの最高出力/最大トルクは控えめなので、これをマイルドハイブリッドと扱う人もいるようだが、駆動用バッテリーは0.9kWhの容量があって、1kmほどモーター走行もできるので、機能的にはフルハイブリッドと呼んで差し支えないと考えている。

1.2L直3ターボにモーターを組み合わせたハイブリッドを初採用。
1.2L直3ターボにモーターを組み合わせたハイブリッドを初採用。    田中秀宣

システム最高出力は145psと、以前あったハイブリッドではない1.2Lターボとの130psを上回る。ギアの数は8から6に減ってはいるが、加速性能は問題ない。エンジンは相変わらず、3気筒ながら高回転までスムーズに回ってくれる。

それ以上に感じたのは、メカニカルな構造ならではの、エンジン車との運転感覚の近さだ。それでいてモーターでの発進はスムーズで、その後のエンジン始動の感触は伝わるものの、減速時は回生ブレーキが明確に効くなど、ハイブリッドとしての仕事もしっかりこなしていた。

メーターグラフィックに思わず見入ってしまう

ドライブモードはエコ、ノーマル、スポーツが用意される。ただしこれはエンジンやトランスミッションの制御のようで、電動系には変化は感じなかった。

ちなみにメーターは、他車と比べればまだ小ぶりだが、エネルギーフローやバッテリー残量などをイラストで表示するグラフィックは凝っていて、思わず見入ってしまうほど。このあたりはフランス的だ。

メーターのエネルギーフローやバッテリー残量などをイラストで表示するグラフィック。
メーターのエネルギーフローやバッテリー残量などをイラストで表示するグラフィック。    田中秀宣

ハンドリングはシトロエンらしく前輪主導。PHC(プログレッシブ・ハイドローリック・クッション)と呼ばれるサスペンションによるゆったりした揺れの乗り心地もまたシトロエンならではで、シートの座り心地が良くなった分、ふんわり感が増しているような感じがした。

価格はやや上がってしまったが、ハイブリッドなので、これまでシトロエンに関心がなかったユーザーも引き込みそうだし、日本車のハイブリッド車より走りのリアル感が伝わることは、欧州車好きも納得するのではないだろうか。

ステランティスでは今後、このパワーユニットをフィアットアルファ・ロメオなどにも搭載していく予定なので、イタフラ好きとしてはこのハイブリッドシステムを起爆剤として、街で見かける台数が増えていくことを期待したい。

シトロエンC4のスペック

全長×全幅×全高:4375×1800×1530mm
ホイールベース:2665mm
トレッド:F&R1560mm
車両重量:1370kg
エンジン:直列3気筒DOHCターボ
総排気量:1199cc
ボア×ストローク:75.0×90.5mm
最高出力:100kW(136ps)/5500rpm
最大トルク:230Nm/1750rpm
圧縮比:11.5
トランスミッション:6速AT
燃料タンク容量:50L
モーター最高出力:16kW/4264rpm
最大トルク:51Nm/75-2499rpm
タイヤ:F&R195/60R18
サスペンション:Fマクファーソンストラット Rトーションビーム
ブレーキ:Fベンチレーテッドディスク Rディスク
燃料消費量(WLTCモード):23.2km/L
価格:432万円

グレードはハイブリッド1本で、マイチェン前にあったBEVは用意されない。
グレードはハイブリッド1本で、マイチェン前にあったBEVは用意されない。    田中秀宣

記事に関わった人々

  • 執筆

    森口将之

    Masayuki Moriguchi

    1962年生まれ。早稲田大学卒業後、自動車雑誌編集部を経てフリーランスジャーナリストとして独立。フランス車、スモールカー、SUVなどを得意とするが、ヒストリックカーから近未来の自動運転車まで幅広い分野を手がける。自動車のみならず道路、公共交通、まちづくりも積極的に取材しMaaSにも精通。著書に「パリ流環境社会への挑戦」(鹿島出版会)「MaaSで地方が変わる」(学芸出版社)など。
  • 撮影

    田中秀宣

    Hidenobu Tanaka

    写真が好きで、車が好きで、こんな仕事をやっています。
    趣味車は89年式デルタ・インテグラーレ。
  • 編集

    平井大介

    Daisuke Hirai

    1973年生まれ。1997年にネコ・パブリッシングに新卒で入社し、カー・マガジン、ROSSO、SCUDERIA、ティーポなど、自動車趣味人のための雑誌、ムック編集を長年担当。ROSSOでは約3年、SCUDERIAは約13年編集長を務める。2024年8月1日より移籍し、AUTOCAR JAPANの編集長に就任。左ハンドル+マニュアルのイタリア車しか買ったことのない、偏ったクルマ趣味の持ち主。

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