【ゼロエミッション推進へ】屋久島でヒョンデ電気バス採用 街と包括連携協定も

公開 : 2025.04.22 08:05

世界自然遺産として島内の電力の99%を水力でまかなう屋久島に、過酷な山岳路でのテストをクリアして、5台のヒョンデ製電気バスが導入されました。非常用電源としての活躍も期待され、『ゼロエミッションアイランド』の実現に貢献します。

ヒョンデ電気バスを屋久島に納車

ヒョンデは4月20日に鹿児島県屋久島町と『屋久島における電気自動車を活用した包括連携協定』を締結し、21日に屋久島・種子島交通株式会社へ中型電気路線バス『エレクシティ・タウン』5台を納車した。

この取り組みは、屋久島の『ゼロエミッションアイランド構想』に賛同し、公共交通の脱炭素化を通じて持続可能な地域づくりを目指すものである。

屋久島に5台のヒョンデ製電気バスが導入、街と包括連携協定も締結。
屋久島に5台のヒョンデ製電気バスが導入、街と包括連携協定も締結。    ヒョンデ

屋久島は鹿児島県が掲げる『2050年カーボンニュートラル実現』に向けた先進地域で、島全体の電力の99.6%が水力発電でまかなわれている。

今回、公共交通のバス運行で求められる条件を満たした中型電気路線バス『エレクシティ・タウン』5台の運行で、CO2削減が見込まれるほか、従来のディーゼル車と比較して、年間の燃料費を削減できる試算があり、地域交通の持続可能性も向上するという。

静粛性の高い電気バスは世界自然遺産である屋久島の『人と自然の共生』という価値観とも高い親和性を持っており、将来的には島内全てのバスとタクシーを全てゼロエミッション化することで、『ゼロエミッションアイランド』の実現に貢献していく。

厳しい山岳路で評価された車体安定性

標高1000mを超える山岳地帯を有する屋久島の厳しい地形や環境条件に対応するため、2023年5月に『エレクシティ・タウン』による走行テストを実施した。

テストでは積載や登坂、山岳路での安定性などが確認され、登坂時に消費される電力を下り坂で効率よく回収する『2段階回生ブレーキシステム』が高く評価された。これにより、ブレーキの消耗品交換サイクルの長期化が期待されるなど、運用面でも大きなメリットが確認されている。

屋久島に5台のヒョンデ製電気バスが導入、街と包括連携協定も締結。
屋久島に5台のヒョンデ製電気バスが導入、街と包括連携協定も締結。    ヒョンデ

さらにバッテリーマネジメント機能や冷却システムなどの制御機能は、屋久島の高温多湿な自然環境にも適応し、充電効率や航続距離を最適化。

車体安定制御装置(VDC)も標準装備されており、カーブの多い山道においても安全性と快適性を両立しており、日常の移動手段が安心できる乗り心地を実現できたことが、導入の決め手となった。

EVを活用した包括的連携協定を締結

また今回、ヒョンデと屋久島間で『屋久島における電気自動車を活用した包括連携協定』が締結された。

本協定では台風や豪雨などの災害時に、電気バスのV2H(車両からの給電システム)機能により避難所や医療施設への電力供給などを行うなど、地域の防災力の強化が盛り込まれている。

屋久島に5台のヒョンデ製電気バスが導入、街と包括連携協定も締結。
屋久島に5台のヒョンデ製電気バスが導入、街と包括連携協定も締結。    ヒョンデ

屋久島いわさきホテルで行われた納車式で、ヒョンデ・モーター・グループの張在勲(チャン・ジェフン)副会長は「この美しい自然と共生する地で、弊社の電気バスが走る姿を見て、屋久島のゼロエミッションアイランドへの挑戦とともに歩めることは、カーボンニュートラルの実現に向けた大きな一歩だと思いました。」と語り、今回のモデルケースを世界に広げていきたいと意気込みを示した。

屋久島・種子島交通と屋久島いわさきホテルを運営する岩崎産業株式会社の岩崎芳太郎社長は「屋久島は電力の99%以上を水力でまかなう、まさにゼロエミッションの理想に近い場所だと感じています。」「ヒョンデの電気バス導入を通じて、この地で持続可能な未来への一歩を踏み出したいと考え、5台の導入を決断いたしました」と述べた。

ヒョンデ・モビリティ・ジャパンの七五三木敏幸社長は「屋久島でゼロエミッションの電気バスの導入を実現することは私たちの強い願いでした。」「安全性・快適性・経済性を兼ね備えたこのバスは、地域住民や観光客にとって新しい価値を提供します。」「この取り組みは、屋久島が目指す持続可能な観光と地域づくりに貢献し、全国に広がる公共交通のスタンダードになると確信しています」と貢献への思いと今後の展望を語った。

また、今回の電気バス導入とともにヒョンデから屋久島町へ、災害時の非常用電源としても活用できる電気自動車『アイオニック5』と『インスター』が寄贈された。

記事に関わった人々

  • 執筆

    AUTOCAR JAPAN

    Autocar Japan

    世界最古の自動車雑誌「Autocar」(1895年創刊)の日本版。

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