【世界のコンパクトEVはここまで進んでいる】ヒョンデ『インスター』初試乗!ワールドカーアワード受賞も納得の完成度

公開 : 2025.04.22 11:05

4月16日に発表された『2025ワールドカーアワード』で、ヒョンデのコンパクトEV、『インスター』がワールドエレクトリックビークルに選ばれました。そして今回試乗した森口将之は、それも納得の完成度だと感じています。

ワールドエレクトリックビークルに選出

4月16日に発表された『2025ワールドカーアワード』で、ヒョンデのコンパクトEV、『インスター』がワールドエレクトリックビークルに選ばれた。

ワールドカーアワードにEV部門が設けられたのは2022年のことだが、それ以降ずっと、ヒョンデあるいはキアの韓国ブランドが独占している。

森口将之がヒョンデ・インスターに試乗。グレードは最上級のラウンジ。
森口将之がヒョンデ・インスターに試乗。グレードは最上級のラウンジ。    山本佳吾

審査員の多くが韓国人というわけではなく、オフィシャルサイトを見ていただければわかるように、米国や中国をはじめ、世界の主要国の人たちが名を連ねていて、日本人ジャーナリストも数人いる。

それに他の分野では、たとえばワールドパフォーマンスカーはポルシェ911カレラGTSが受賞しているのだから、国籍に偏りがあるとは言えない。

そのインスターは4月10日に日本でも発売され、ジャーナリスト向けのテストドライブの場が用意された。ステアリングを握ってみると、確かにアワードを獲得しただけはあると思える完成度を備えていた。

我が国のヒョンデのラインナップではコナの下に位置するインスターは、全長3830mm、全幅1610mm、全高1615mmという数字で想像できるように、欧州ではAセグメントに属する。

日本には軽自動車があるためもあって、EVでは直接のライバルはなく、欧州車では全長はミニ・クーパーE/SE、全幅はフィアット500eに近い。エンジン車で似たようなサイズの車種を探すと、スズキ・クロスビーになるだろう。

グレードはカジュアル、ヴォヤージュ、ラウンジの3つ。装備だけでなく性能も違っていて、カジュアルのみモーターの最高出力/最大トルクが控えめになり、バッテリー容量が小さくなる。今回試乗したのは最上級のラウンジだ。

輸出をメインとしているから強いアピールが必要

外観は、フロント/リアまわりは他のヒョンデと同じように、主張が強めだ。韓国車は自国のマーケットが小さく、輸出をメインとしていることから、強いアピールが必要だと考えているのかもしれない。

でも前後とも丸いランプをアクセントとしているので、可愛らしいと思う人もいるだろう。対照的にボディサイドは、SUVらしい力強さがしっかり伝わってくる。いろんな意味でメリハリのあるデザインだと感じた。

メーターとセンターディスプレイを一体とはせず、別々にしてあるインテリア。
メーターとセンターディスプレイを一体とはせず、別々にしてあるインテリア。    山本佳吾

インテリアは、他のヒョンデ各車のように、メーターとセンターディスプレイを一体とはせず、別々にしてあることにまず気づいた。センターのスイッチがボタンやダイヤルで残しているのは良識的だ。

デジタルメーターはダイヤルタイプとキューブタイプが選択できる。個人的にはキューブが独特で面白かった。ボディカラーに合わせてブラックとベージュが用意されたインテリアカラーは、キャラクターを考えてもベージュが似合うと思った。

助手席の前にUSBのタイプAとタイプCの充電口を用意したり、ラウンジではインパネやドアトリムに仕込まれたイルミネーションが64色から選べたりしているのは、デジタル先進国ならではだ。

前席は適度な包まれ感が得られるものの、エンジンフードは端まで確認できるので運転しやすかった。座り心地は固めでホールド感は控えめ。ひんぱんに乗り降りして短距離を移動することを想定しているようだ。

後席は幅の関係でふたり掛けになる。しかし前後方向のスライドが備わっているので、いちばん後ろまで下げると、身長170cmの人間なら足が組める。軽自動車のパッケージングを研究しているのかもしれない。

記事に関わった人々

  • 執筆

    森口将之

    Masayuki Moriguchi

    1962年生まれ。早稲田大学卒業後、自動車雑誌編集部を経てフリーランスジャーナリストとして独立。フランス車、スモールカー、SUVなどを得意とするが、ヒストリックカーから近未来の自動運転車まで幅広い分野を手がける。自動車のみならず道路、公共交通、まちづくりも積極的に取材しMaaSにも精通。著書に「パリ流環境社会への挑戦」(鹿島出版会)「MaaSで地方が変わる」(学芸出版社)など。
  • 撮影

    山本佳吾

    Keigo Yamamoto

    1975年大阪生まれ。阪神タイガースと鉄道とラリーが大好物。ちょっとだけ長い大学生活を経てフリーターに。日本初開催のWRC観戦をきっかけにカメラマンとなる。ここ数年はERCや欧州の国内選手権にまで手を出してしまい収拾がつかない模様。ラリー取材ついでの海外乗り鉄旅がもっぱらの楽しみ。格安航空券を見つけることが得意だが飛行機は苦手。
  • 編集

    平井大介

    Daisuke Hirai

    1973年生まれ。1997年にネコ・パブリッシングに新卒で入社し、カー・マガジン、ROSSO、SCUDERIA、ティーポなど、自動車趣味人のための雑誌、ムック編集を長年担当。ROSSOでは約3年、SCUDERIAは約13年編集長を務める。2024年8月1日より移籍し、AUTOCAR JAPANの編集長に就任。左ハンドル+マニュアルのイタリア車しか買ったことのない、偏ったクルマ趣味の持ち主。

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